変異株が着実にまん延してきた日本。ここまでの経緯を振り返る。


関西を中心とした感染拡大が止まらない。変異株の恐ろしさと考えていいだろう。
ここまでの拡大を招いた主原因は入国管理の甘さにあると僕は考えている。
ただし多くの人が主張する「入国検査が抗原検査なのが原因。PCRにすべき」はちょっと違う。入国時の防疫で用いられているのは専用機器を必要とする「定量」抗原検査で、一般に抗原検査キットと呼ばれる「定性」抗原検査と比べ桁違いに性能が高い。
PCR検査には及ばないものの、かなり近いと言っていいだろう。
そしてたとえPCR検査であっても一定数、とくに感染初期ではすり抜けが生じる。
だから検疫でもっとも重要なのは検査手技ではなく「隔離」だ。世界中のほとんどの国では入国者には2週間の隔離が強制されている。潜伏期は基本的には最大で2週間なので、2週以内に発症しなければ問題はないという方策で、感度100%の検査法がないことを考えるとこれが一番確実だ。
ところが日本は入国者に「自主隔離を要請」するだけ。罰則規定がないどころか、隔離期間中も外食は可とされている。
(関連ブログ;日本に入国後の2週間隔離。外食はOKって知ってました?
こんな馬鹿げた入国者隔離政策をしているのは近隣では日本くらいだろう。変異株流入が防げるわけがない。

その変異株が大阪で流行している理由はなにか?
どうやら吉村大阪府知事は自分たちの感染対策がうまくいったのが原因だと考えているらしい。以下はご本人のツイート。
https://twitter.com/hiroyoshimura/status/1377631360051863554

何故大阪で感染が急拡大したのか。NEWS23で脇田座長がコメントしてた緊急事態宣言で大阪は感染を抑えすぎた、結果、変異株が既存株にとって変わる速度が早まり、変異株が急拡大してる説。逆説的でえっ?と思うが真実をついてるかもしれない。緊急事態宣言解除時の大阪の陽性者は1日約50人だった。
勿論、尾身会長も指摘し、我々も同じ分析の、春休みに入り、年度替わりに入り、3月中旬頃から急激に若い世代の活動が活発になり、飲み会、コンパ、歓送迎会等の機会が圧倒的に増え、ここ1週間の感染急拡大に繋がっているというのは間違いない。しかし、それだけか。脇田説がストンとくる。要注意だ。

自分の目を疑った。大阪は感染を抑えすぎたから変異株が急拡大した? この1年間のコロナ禍で府知事は何を学んできたのだろうか?
言うまでもなく、
「感染を抑えなかったら既存株も変異株も今よりもっと拡大していた」
と考えるのが正しい。
集団免疫が成立する勢いで既存株が蔓延していたのなら話は別だが、現在の日本での低い感染率を考えれば、既存株の存在が感染性の高い変異株の蔓延を邪魔することはありえない。
現に日本よりはるかに感染者数が多い(感染を抑えられていない)イギリス、フランスでも急速に変異株に置き換わったのだが、そういう基本的な情勢は府知事の耳には入っていないのだろうか?
そんなわけがない。府知事もちろん知ってはいるのだろう。
大阪の失敗は早期に緊急事態宣言の解除を要請したことにある。だから首都圏に先駆けて第4波の襲来を招いてしまった。
早期の緊急事態宣言解除を求め、そのたった1か月後にはまん延防止等重点措置を要求。これは失態としか言いようがない。
知事としては忸怩たる思いだろう。
しかしもし「現在の蔓延は大阪が第3波封じ込めに(首都圏より)成功したからであり、まさかそれが仇になるは予想できなかった」ということになれば、一応の格好はつく。
典型的な確証バイアス。自分の失敗を認めたくないという強い呪縛から、都合のいい情報があるとしっかり内容を吟味をすることもなく飛びついてしまう。
以前から再三書いている通り、コロナ禍における識者たちの発言は認知バイアスの教科書に載せたいようなわかりやすい例で溢れており、人間の脳の誤作動に注目しつづけている僕としてはなんとも興味深い。

最後に話がそれた。明日は変異株の「今後」について述べたい。




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昨日の昼はあっさりとフォー。
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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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