変異株のまん延を日本は乗り切ることができるのだろうか?


引き続き、変異株について。
昨日は変異株まん延の理由について、主たるものは防疫体制の不備、さらに関西が一早く緊急事態宣言の解除を要請してしまったことも一因なのではないかと書いた。今日はこれからの展開について予測したい。
僕はこの変異株の蔓延を強く危惧している。

引用は忽那先生の記事から。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210313-00227202/

Q. イギリス変異株の特徴は?
A. 従来のウイルスよりも感染力が最大40%増加し、また重症化もしやすいようです。
イギリス変異株(VOC202012/01、B.1.1.7、20I/501Y.V1)は、2020年後半にイギリス南東部で初めて確認されましたが、現在は世界中に拡大しており3月9日時点で111カ国で報告されています。
当初、イギリスでロックダウンが行われる中で、この変異株が従来株よりも最大75%感染力が強いのではないかと推定されていました。
イギリスの公衆衛生局の報告書では、イギリス変異株に感染した人の接触者37,585人のうち12.9%に二次感染が認められたのに対し、従来のウイルスに感染した人の接触者24,239人のうち9.7%に二次感染が認められたことから、変異株の感染力の増加は25~40%であると推定されています。
また、重症度についても高くなることが懸念されています。
イギリスで従来のウイルスに感染した人と、イギリス変異株に感染した人とを比較したところ、イギリス変異株に感染した人の方が64%死亡率が高くなっていたと報告されています。


死亡率の高さももちろん気になるが、日本にとって大惨事を引き起こす可能性があるのが感染力の強さ。
以前言われていた感染力75%増加とまではいかないようだが、25~40%くらい感染力が高いもよう。しかし日本でも「同じ増多率」ですむ保証はないと僕は危惧している。

そもそもなぜ日本では人口当たりの死者数が少ないのか。致死率は欧米諸国とさして変わらない。つまり死者数の少なさは感染者数の少なさによるものと考えていい。
ではなぜ感染者数が少ないのか?
下記ブログ記事から結論部分を引用する(長くなるので今回は理由は省略するが、興味のある方はブログ本文を参照してほしい)。
結局ファクターXとは何なのか? 徹底的に考えてみる。

日本で感染者数が少ないことに対する僕の結論。
主たるファクターXは、マスクの着用。
感染初期から国をあげてユニバーサルマスキングを達成した効果には疑う余地はないように思える。
さらに、
・クラスター対策班や保健所職員等による献身的なクラスター対策
・マラソンなど大規模イベント休止、休校要請により国民が早期(2月後半)から危機感を共有
・毎日の入浴などの高い衛生意識
・ハグや握手、大声での会話などが少ない生活文化
・早期から3密を避けたこと
・大声を出す必要がなく、唾液も飛びにくい日本語の特性
これらの効果も大なり小なりあったと考える。
その他の要素の影響も否定はしないが、あったとしても軽微だった可能性が高そうだ。

このうちいくつかはすでに世界と共有されている。一番顕著なのがマスクで、欧米でも広く着用されるようになったのは皆さんもご存じのとおりだ。
それらの要素を除き、現時点でも日本が有利なのは、

・毎日の入浴などの高い衛生意識
・ハグや握手、大声での会話などが少ない生活文化
・大声を出す必要がなく、唾液も飛びにくい日本語の特性

の3点にすぎない。

それだけでこんなに感染が抑えられるわけがない、と訝しく思う人も多いかもしれないが、実は日本で感染が広まりにくかったのは感染初期だけで、ここ1年の実効再生産数は欧米と大差ない。
特にアメリカと比べるとわかりやすい。

スクリーンショット 2021-04-05 133914

実効再生産数は同じといっても、感染防止対策において日本は欧米より弱い行動規制ですんでおり、その理由がさきほどあげた3つと僕は考えている。
3つのいずれも大なり小なりの関与はあるだろうが、いずれもマスクとは違い劇的な影響を及ぼしているとは考えにくい。これらが功を奏しているのは「ちょっとしたバランス」によるものと推測している。
となると変異株のもつ感染性の強さがこの微妙な平衡点を軽々と打ち崩し、日本でも欧米並みの感染力を発揮する可能性が否定できないことになるのだ。
その場合、日本の緩い行動規制で太刀打ちできるわけがない。感染の拡大は第1-3波とは比べるべくもない、目を覆うようなものになるだろう。
もちろんその逆で、日本の生活習慣上の利点が変異株の強い感染性を打ち消す事態もこれまでは少しだけ期待していたのだが、現在のまん延具合を考えるとその可能性はなさそうだ。

ワクチンも検査も一向に広まらないのだがから、変異株を拒む要素が日本にはほとんどない。特に今まで警戒が薄かった小・中・高校を通じて感染が拡大する事態を危惧している。
僕らに与えられた武器はいまだにマスクと行動自粛のみ。
今年の夏以降、自由を取り戻していく欧米諸国を尻目に、日本だけが感染者増多に苦しむ悲惨な未来を断腸の思いで予想しておく。




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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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