東アジアの人々は感染しにくい!と主張する皆さん。モンゴルを忘れていませんか?


昨日「そもそも『東アジアではすべての国がうまくいっている!』との主張は間違いなのだ」と書いた。
自分で調べたら答えがわかったよ!という熱心な読者は多分いないと思うのでw、さっそく答えを書く。
モンゴルだ。
現在、人口当たりの新規感染者数でみるとモンゴルはインド並みで、欧米諸国より悪い。
パンデミック初期は優等生だったモンゴルに一体何が起こったのだろうか?

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これは去年8月の記事
死者ゼロ、モンゴルの新型コロナ対策を聞く
https://www.technologyreview.jp/s/216612/how-mongolia-has-kept-the-coronavirus-at-bay/
初期の国境封鎖で流入を阻止。その後、フランス人1名の感染がわかったが、広範な接触者追跡によって封じ込めた、とある。
これは起動が早かったのが功を奏したのか、それとも新型コロナに感染しにく東アジア人の体質のお陰なのか。
答えはその後わかる。下記はモンゴルからの昨秋の発信。
https://tdbm.jp/ulaanbaatar/2539/

11月11日、モンゴルで初めての新型コロナウイルス国内感染者が出てしまいました。モンゴル政府の発表によると、感染が認められたのはロシア国境のアルタンホラグから入国した運転手とその家族です。その運転手はモンゴル入国後21日間の隔離を終え、再度PCR検査を受けたところ、陽性反応が出たとのことです。隔離期間は政府指定の隔離施設にいたわけですし、運転手の方に落ち度は無いのですが、隔離明けから陽性反応が出るまで、公共バスやタクシーを利用してかなりの広範囲を移動し、2000名以上が集まるコンサートを観に行っていました。


PCR検査陽性とはいえ3週間隔離されていた後だから、感染力はそう強くなかった可能性が高い。ところが感染はそこからあれよあれよという間に広がり、上グラフの惨状になったというわけだ。
以上のことからも東アジアの人は感染しにくい体質とはとても考えられない。
隔離、接触追跡、マスクなど適切な対策がとれれば抑え込めるが、うまくいかなければ欧米並みの実効再生産数になることがわかる。

その他にうけた質問は、「マスクの効果が大きいなら、なぜマスクが普及後も欧米で感染拡大がとまらないのか?」とのもの。
実は欧米と日本との差は、欧米でマスクが軽視されたパンデミック初期に生じたものだ。マスク普及後の実効再生産数にはほとんど差がない。
封じ込め成功国のオーストラリアも第一波、第二波の途中までは感染拡大が急激で、マスク着用が義務化された7月以降、ようやく上昇基調がなだらかになっている。
(なお、なぜ対数グラフを使う?という批判もよく受けるが、感染拡大速度は対数グラフの傾きでみるのが基本)

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もちろんすべてマスクで説明がつくとは考えていない。
ロックダウン、社会的距離、そしてワクチンだってもちろん有効だから、それらを複合的に考える必要がある。
日本で欧米のように感染が拡大しなかった理由に限っていえば、マスクの他に

・クラスター対策班や保健所職員等による献身的なクラスター対策
・マラソンなど大規模イベント休止、休校要請により国民が早期(2月後半)から危機感を共有
・毎日の入浴などの高い衛生意識
・ハグや握手、大声での会話などが少ない生活文化
・早期から3密を避けたこと
・大声を出す必要がなく、唾液も飛びにくい日本語の特性

といった要素も大なり小なり効いたのでは? と考えている。

ちなみに僕が知る限り、欧米では、
「日本は早期からのマスク、三密回避、接触追跡で抑え込んだ」
との報道が主だ。
日本人には特殊な免疫があるのだろう、という論説はほとんど見たことがない。
いまだに一部日本人だけが「僕らは感染しにくいんだ!」との幻想にすがっているようにみえ、少し残念に感じている。



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コーヒーブレーク。
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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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