政権も保健所も、感染経路に関しては丸1年遅れているのではないだろうか?


昨日書いた通り、WHOは空気感染を認め、CDCはそれが主であるかのように文書を改訂した。
それをうけて日本でも空気感染の啓蒙がすすむ兆しが……まるでない。

西村経済再生担当相は先日、「屋外でマスクを付けていても感染が確認される事例の報告が相次いでいる」と警戒を呼び掛けた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/66f8de3a5343710aae6cfd7cc7883dd49d8a1284
もちろん屋外でマスクをしていても感染する可能性はあるだろう。しかし「相次ぐ」ほど高リスクとはとても思えない。
飛沫感染であればほとんどはマスクで防げる。
エアロゾル~空気感染ならマスクをすり抜けることもありそうだが、屋外ではエアロゾルはすぐに霧散する。
そもそも1日中マスクを着用しながら屋外で生活している人がいないのに、なぜそれらの人々は屋外で感染したと結論づけられたのか?
まったく納得できるものではないが、詳細は明らかにされていない。
注意喚起は重要だが、的外れなものはかえって混乱を招く。大臣がこんなことをいっているようでは、いつまでたっても国民に空気感染のリスクが伝わらないのではと危惧している。

またネット記事は消されてしまっているが、西村大臣は5月3日、TBSの番組に出演し「できるだけキャッシュレス決済を」と訴えている。
https://twitter.com/uchiyamasunao/status/1389119129475448838
これは本当にひどい。接触感染は少なそうだという最近の知見はまったくご存じないのだろうか。
ちなみにこれらは西村大臣に対する個人攻撃ではない。大臣にアドバイスする立場の専門家たちが不勉強なのだと考えている。
(そういえば岩田健太郎氏も著書で『換気より手洗いがずっと大事』と書いてたっけ)

空気感染の実例が東京新聞に。
「変異株は怖い…その場の人たちにあっという間に」 クラスター発生のスナック経営者が猛威語る 茨城・日立市
https://www.tokyo-np.co.jp/article/100647

クラスターが発生したのはスナック「レイ」。男性によると発端は3月末、同僚同士で訪れた会社員のグループ客だった。4月1日、保健所から、その客のうち2人が変異株に感染していたと連絡があり、系列店を含む全40人を検査。従業員8人の感染が分かり次々に熱などの症状が出た。
同県の調べでは、店の関連で感染が判明した25人のうち21人が変異株だった。店の感染対策は十分なはずだった。接客をする女性従業員はマスクの上にフェースシールドをし、飲み物は、ストローをマスクの下から入れて飲んでいた。客にもマスク着用を呼び掛け、全てのテーブルの中央にはパーテーションを設置。手指はもちろん、床や壁まで消毒していた。
それでも、変異株は感染を広げた。店ではカラオケを設置しており、男性は「カラオケはおっかない」と懸念する。マイクは複数あり、1曲歌うごとに消毒し、回して使っていた。


あきらかに空気感染だと思うが、記事内に空気感染の文字はない。これは担当した保健所がこれを空気感染と認識しておらず、記者は取材で聞いた通りに書いたのだと想像している。
壁を消毒などという無駄な対策には触れているのに、換気の有無に関しても記載がない。保健所も記者も、大して重要なこととは考えていないのだろう。
カラオケの置いてある店なら大した換気はされていなかったと僕は想像する。

最近、日本より新規感染者数が少なくなったイギリスでは、ワクチン、ロックダウン、検査が注目されているが、実は昨秋から徹底した換気の啓蒙を行っている。
以下はイギリス政府の啓発ビデオ。エアロゾルを視覚化していてわかりやすいので、ぜひご覧いただきたい。

第一波では集団免疫策をとろうとして失敗。世界中から批判されたジョンソン政権だが、昨秋からの政策決定は非常に科学的で、もはや世界をリードしていると言っていいだろう。

ワクチンは効果絶大だが、副反応があり、接種をすすめるのには時間が必要。
検査も拡大すべきだが、これも明日からすぐにというわけにはいかない。お金だってかかる。
しかし換気は、今すぐ、お金を掛けずに開始することができる。
日本は直ちに空気感染、そして換気啓蒙の大規模キャンペーンをすべきだと僕は考えている。
でも「空気感染はない」と主張した専門家たちが、自分たちの間違いを認めたくなくて足を引っ張ってるんだよなあ。

情けない、嗚呼、情けない。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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