西浦博氏の「中国が抑え込んだから周辺国はその恩恵を受け、ファクターXがあるようにみえた」に反論する。


下記記事で西浦博氏は「中国が抑え込んだから周辺国はその恩恵を受け、ファクターXがあるようにみえた」と主張している。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/83119?imp=0
まったくの不同意だ。それどころか、「なぜこんな馬鹿げた記事を」とすら感じている。今日はその理由について書きたい。
まずは序盤を引用。

日本では京都大学の山中伸弥教授がまだ見ぬ防御的要素を「ファクターX」と名付け、その可能性を発信したこともありました。当時は、ウイルス株の違いや遺伝的要因、交差免疫や細胞性免疫(BCGを含む)など、いくつかの候補が挙げられました。
もちろん、その後に多くの研究者がこのファクターXの解明に向けた研究に取り組んでおり、既にいくつか仮説を提唱する研究があります。大切なこととして、その存在は未だ否定されるものではありません。
しかし、ここまでに明確なのは、唯一論的に説明が可能な決定的なものが未だ発見されていない、ということです。そして、いま、アジアでの感染リスクは十分にあって、予防接種が進む、ごく一部の先進国を追い越して、アジアでの流行拡大が世界の流行をリードする状況に至りました。

どうやら「ファクターXなどない」という主張のようだが、この前提の部分ですでにマスクや生活習慣が検討対象から外れてしまっている。
一部の識者はファクターXの話をするとき、西浦氏のように遺伝・免疫やBCGのみを検討対象にしがちだ。
「日本人は感染しにくいのか」を議論したいがゆえにそうなるのだと理解はしているが、であれば紛らわしいのでファクターXという言葉を使わないでいただきたい。
これは流行初期に山中氏により提唱されたもので、マスクなども検討対象に含めた概念だからだ。
記事からの引用を続ける。

あなたの感染するリスクを大きく左右しているのは、あなたの近しい人が感染しているかどうか、ということです。自身の帰属する集団で感染が多いと、自分も感染しやすくなります。

2020年前半は、東アジアや東南アジア、オセアニアではそれぞれの国が感染リスクを低く抑えており、互いに感染を与え合わない状況にありました。「どうしても行き来しなければならない人」に関しても、次第に渡航制限や検疫が機能し始め、地域共同体としてWin-Winの状態にあった、ということが理解できると思います。
アジアで行き来の多い周辺国の感染リスクが低いなら自国の感染リスクも低くなる、という当たり前のことが起こった、というわけです。

日本を含むアジア~オセアニアではほとんどの国がうまくいったので、その影響で感染リスクが低くなったという主張だが、これは肝心の部分が抜け落ちている。
最初に感染爆発が起きたのは中国なんですけど?
普通に考えれば中国の周辺国こそハイリスクということになるし、だからこそ皆首を傾げ、ファクターXという言葉が生まれたわけだが、西浦氏の主張ではそこは無視してしまっている。
さて、ここからが西浦説の主題。アジアで感染者数が増えにくかった理由は中国の成功にあると捉えているようだ。

中国では去年1月後半から湖北省で武漢市を中心として都市封鎖を行いました。いわゆるロックダウンの実践の初例となりました。既に広く知られていますが、中国での行動制限に伴う流行制御は流行のごく初期で奏功したのです。
特に、その後の経過として、中国では継続的に渡航制限と検疫を強化しており、地域でクラスターが複数発生した際には、局所的な地域のロックダウンを繰り返す政策で封じ込めをしてきました。
そしてその影響は他のアジア地域にも及びます。中国からの渡航は、日本を含めたアジア地域への渡航者の出身国別で常に上位ですから、渡航者における感染リスクを圧倒的に下げることに繋がったものと考えられるのです。
もちろん、中国以外にも韓国や台湾、東南アジアの成功も特筆すべきものですが、中国における制御の成功は、その人口サイズと波及効果を考えると極めて大きくなることは定性的に明らかですね。

中国が抑え込んだから周辺国はその恩恵をうけたとの論説。しかしこれはおかしい。
というのもアジアと欧米とで実効再生産数が大きく違うのは2月上旬から3月までの短い期間に過ぎない。その後も欧米で感染者が多かったのは、そこで高止まりしてしまったからにすぎず、その後の実効再生産数はあまり変わらないのだ。

スクリーンショット 2021-05-21 122731

上グラフでみられる欧米での急激な第一波を「周辺国も多かったから増えやすかった」と理由づけるのは無理筋というものだろう。
アジアでもみても、中国の隣国であるインドで実行再生産数が欧米より低いのは上述した流行初期および2020年9月から今年の2月までで、その他の期間は欧米より高い。
隣国中国が抑え込んでくれたから、流行初期限定でアジアでは実効再生産数が低かった、との理論とはまったく整合性がない。

さらに西浦氏はそのほかの要因として、気候にも触れている。

発展途上国を含む東南アジアで流行が下火だったのはどうしてなのでしょうか。もちろん、シンガポールや台湾、香港のような例外はありますが、その他も封じ込めに近い状態を達成してきました。
その一因として、詳細なメカニズムは明らかにしなければなりませんが、気温が低い時、このウイルスの伝播は気温が高い時よりも効率的になることが知られています(すなわち、気温がファクタ―Xの一部だったと言っても語弊ではありません)。
どの地域も冬季が流行の鬼門であり、気温が低い時期に人が移動して飛沫が飛び交うようなイベントがあると大変危険だと考えています。日本だと、第3波の際の年末年始に感染者数が一過性に増加しましたが、そのようなことです。
すなわち、東南アジアの各国で封じ込めや大規模流行回避(それを抑制=Suppressionと呼びます)に成功してきたことには、熱帯地域や亜熱帯における高温が助けになっている可能性を考えています。

気候が影響しているというのはその通りだと思うが、僕は「高温」によるものとは考えていない。
というのも新型コロナウイルスは主に屋内で感染が生じ、屋外での感染は少ないことがわかっている。
東南アジアでは屋内も高温なのだろうか? まさか。いまやエアコンは相当普及しているし、むしろ日本人より設定温度を低くする傾向がある。
よって鍵となるのは高温によるウイルスの伝播力低下ではなく、「東南アジアはその温暖な気候により、オープンエアの飲食店が多いことが功を奏した」と考えるべきだろう。
もちろんそれは日本や韓国にはあてはまらない。

さらにこんな主張も。

以上に加えて、このウイルスは2次感染を一切起こさない人が感染者5人中4人くらいと多いので、特に従来株ではウイルスの伝播が持続し難いという特徴が顕著でした。アジアの多くの国が、その特徴の恩恵を受けてきたのかも知れません。

これに至っては、なぜ欧米にはその恩恵が及ばなかったのか、まったく言及されていない。
一読するともっともらしいが、西岡氏の想像にすぎないようだ。

これまでの流行状況のサイエンスから、「ファクターXの存在が強く示唆される」と言われた状態が、どうして作られてきたのかが一部判明してきたので、本稿で共有をしました。

おいおい、この投稿のどこがサイエンスなのよ。考えの浅い当てずっぽうレベルではないか。

2019年の年末、または2020年の始めに、世界中の多くの国に新型コロナウイルスは散らばった。感染者が欧米では爆発的に増えたのに、日本ではさほどでもなく、その原因がファクターXだ。
周辺国の感染者数は長期的には影響を与えるが、普通に考えればファクターXとは何の関係もない。
そこそこ頭の良さそうな、しかも新型コロナウイルスに関して多くの情報を集め、吟味しているはずの専門家が、なぜこんな馬鹿げた説を唱えるのか、僕には本当に不思議でならない。
「木を見て森を見ず」という言葉がまさにしっくり来そうだ。

ちなみに僕が考えているファクターXは以下の通り。

主たるものはマスクの着用。
さらに、
・クラスター対策班や保健所職員等による献身的なクラスター対策
・マラソンなど大規模イベント休止、休校要請により国民が早期(2月後半)から危機感を共有
・毎日の入浴などの高い衛生意識
・ハグや握手、大声での会話などが少ない生活文化
・早期から3密を避けたこと
・大声を出す必要がなく、唾液も飛びにくい日本語の特性
これらの効果も大なり小なりあったと考える。

理由について興味があるようなら下リンク記事を参照していただきたい。
https://fire-earlyretire.com/blog-entry-293.html

最初にも書いたが、西浦氏はファクターX探しに際し、これらの項目を端から検討もしていないのだ。

空気感染を認めなかったり、無症状者への検査拡張に否定的だったり、日本の専門家ってちょっとレベル低すぎない?
同じ医師の端くれとして、けっこうガッカリしている。



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内山 直

2016年、47歳でセミリタイア。地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で、遺伝が50%。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってきます!

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