先週はかなり株を売りました ~ そろそろ緩和バブルの終了も近い?


僕が5年前、47歳でアーリーリタイアできた理由のひとつは株式投資での成功だ。
世界株分散投資を主としているが、配分は自分好みに変えるし(たとえば今はアメリカの比率を多めにし、新興国は少なめ。日本、韓国は投資先から外している)、ある程度のタイミング売買も行っている。
特に後者、タイミング売買については、今まで多くの人から批判されてきた(大きなお世話だっちゅうの)。確かにタイミング売買がうまくいくとは限らない。結果としてもちっぱなしのほうがよかったとなる可能性もかなり高い。
それでも僕がタイミング売買を行う理由はふたつ。ひとつめは、
「自分自身が現にリーマンショック後の下落局面で積極的に買うことにより資産を増やすことができた」
という経験則。
世界株分散でリスクを下げる投資法を学んだのは2007年頃だったと思うが、当時の株価は割高にみえ、投資の開始は見送った。
実際にドルコストでの買い付けを開始したのはリーマンショックが起きた2008年。
そこから買い続け、2013年のアベノミクス開始とともに残りのキャッシュをかき集めてすべて日経平均連動型に変えた。
その後も多少売買はしたし、配分のほうは大きく変えたが(前述したとおりもう日本株はもっていない)、それでもここまでの約10年間、その大半を持ち続けている。株価の推移を知っている方なら、これが非常にうまくいったことはご理解いただけるだろう。
そしてもうひとつの理由は、
「多少タイミング売買をしたほうが精神的に楽」
という心理的側面がある。
インデックス投資で損をする人はとんでもない高値でつかんだり、安値で狼狽売りをしたりといった具合に、後で考えれば「なんであんなところで…」という売買をしてしまったケースが多い。
投資からくる精神的負荷さえ軽く保てれば、そのような極端な売買に陥る危険もないはずなので、「精神的に楽」な状態でいることを僕は重視している。
そんなわけだから、もし将来的に「もちっぱなしのほうがいろいろ考えずに済んで楽だな」と思えば、そのときは方針も変えるつもりでいる。

さて、前置きが長くなったが、今日書きたいのは僕の実際のタイミング売買。実は先週から積極的に投資信託を売っている。
自著「幸せの確率~アーリーリタイアのすすめ」で、僕は自分の投資ルールのひとつとしてこう書いている。

④バブルだと考えたら5割以上、場合によってはすべてを現金化する。

自著で書いた通りの投資行動をしているというわけだ。

ところで世界株は今、バブルといっていいのだろうか?
これには様々な議論があり、一素人である僕の意見などほとんどの読者にとってどうでもいい話だと思う。
しかしそう言ってしまうと身も蓋もないし、そもそも書ける記事がなくなってしまうので、今日は知識の浅さを自覚しつつも、「世界株はバブル」と僕が考える理由を記しておきたい。

まずはS&P500でみる。
1990年以降の予想PERの平均値は16倍~17倍程度。
https://finance-gfp.com/?p=6403
スクリーンショット 2021-05-30 101726
現在の実績PERは37.11と、1年前の25.56よりかなり高くなっている。
https://www.wsj.com/market-data/stocks/peyields
ただしワクチンの普及により世界の実体経済が急回復することはほぼ確実な情勢で、予想PERは22.42と実績よりは随分低い。
それにしたって20越えなら無茶苦茶高いじゃんと考えがちだが、超過CAPE利回りでみると、長期金利が低いため割高ではないという意見もある。
https://www.yutainvest.com/pe-ratio-for-sp500/
しかし今後実体経済の回復とともに長期金利は上がる可能性が高く、そうなれば高PERの維持は難しいはずだ。
長期金利とPERの推移は下記サイトがわかりやすい。
https://ybt-investment-strategies.com/archives/SP500-PER-history
ちなみに現在の株価水準はPBRでみても相当に割高。S&PのPBRは4以上というとんでもない数字になっている。
https://finance-gfp.com/?p=6403
米、バフェット指数、CAPEレシオ、特定銘柄への集中度、住宅価格、いずれも過去のバブル水準並みか、それ以上の数値に。

https://twitter.com/goto_nikkei/status/1368316709178802177
Ev0miugXYAI3wDG.jpg

アメリカ株以外でもPERは歴史的、世界的に高水準。
https://myindex.jp/global_per.php
これを「今後の急回復期待」と「低い長期金利」で正当化するのは、やはり難しいように思える。
リーマンショック後の不況をうけ、歴史上類を見ない金融緩和を続けてきたところにコロナ禍が起こり、世界中でさらなる緩和策が打たれた。
それによって「緩和バブル」が生じている可能性が高いのではないだろうか?
下リンクは「2021年、財政出動の弾はつきたためバブルはついに崩壊する。リーマン・ショックから先送りされ、膨らみ続けたバブルのツケを、世界中で払うことになるのだ」との記事。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9a8e687c1d9acd26016cb734929b082d69c6f6a3?page=4
個人的には説得力が高いと感じた。

ちなみにS&Pは現在4200。リーマンショック前のバブル(高値1500)から15年間で2.8倍になったことになる。
株価が毎年順調に6%ずつ上がったとしても15年なら2.4倍にすぎないことを考えると、前回のバブルでの水準に時間軸を加味して比較しても、現在の株価には割高感があることになる。

というわけで・・・。
僕は大きく持ち株を減らし、現金比率を高めることに決めた。
株を一旦売却するデメリットは納税による投資資金の減少と、その後も上がり続けた場合に生じる機会損失だ。
しかし僕はこのまま一本調子で上がり続けるより、調整局面入りする確率の方がはるかに高いと考えている。
さらに暴落の可能性だってある。
ここ10年の株高で増えた資産を抱えたまま暴落の直撃を受けるのはやはりストレスになる。
むしろ、もしそうなったらそこでまた取ってやる、という気持ちの方が僕には強い。

そこで冒頭で触れたように、先週から実際に大きく売却し、無事、現金比率を40%程度にまで高めることができた。
これでとりあえずひと安心。ここからの相場次第だが、高値が続くようならさらに売り足す予定でいる。
ただしよほどのことがない限りゼロにはしない。その後も上がり続けた場合のストレスが大きいし、値動きによっては再参加のチャンスが当分やってこない可能性もあり、それは困る。
資産のインフレによる目減りリスクを株投資で防ぐには、金融資産の30%程度を株で所有する必要がある、という考えもあるようだ。
となると現金比率を上げるにしても、せいぜい50~70%が上限かな、という気がするのだが、どうだろうね?

というわけで、久々の大きな売買。おもしろいけど、ちょっと疲れている。




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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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