どうインフレに対処するかで悩んでいると書いたら、興味深いコメントを頂いた!


先週、「インフレ対応資産に適しているのは何か? そしてどの程度組み入れるべきなのか、調べてみた」という記事を上げ、その中で
「インフレに対するリスクヘッジ、詳しい人がいたら、ぜひアドバイスくださいな」
と書いたところ、Tさんという方から実に有意義なコメントをいただいた。
独り占めするがもったいなくなる内容だったので、ご本人の承諾を得た上で紹介する。

元証券マンの会計士です。いつも楽しくプログを拝見しています。
私はインフレリスクを気にするほどの資産はないですが(基本米国株と日本円のみ)、将来のことも考えてインフレ対策について考えたことはあります。
一般的には最もインフレに強い資産は不動産ですし、勤労収入もインフレに強いと考えてよいかと思います。
内山さんは自宅に加えて賃貸用不動産をお持ちですし、その気になればインフレに負けない収入を得られるであろう医師免許もお持ちです。その上株式保有比率が40%以上あれば、現状インフレを警戒する必要はほとんどないかと思います。老後は働けなくなりますので、インフレリスクを考える必要性が高まるかと思いますが、年金もある程度はインフレに連動するかとは思います。個人的には、あまり焦らずに数年単位でじっくり考えるのが最良だと思いました。
(中略)
ご存じだとは思いますがコモディティは長期的にリターンが低すぎますので、あまり良い投資先ではないかと思います(当たり前ですがコモディティ自体は利息も配当も生み出しませんので)。
私が内山さんだったら米国債(米ドル)・日本円・金あたりでしばらく様子見かな、と思います。あのバークシャーハサウェイの余剰資金十数兆円も米国債等で運用されているかと思います。

勉強になるなあ。それに不安が8割方払しょくされた感じだ。
ただしこれで全面解決とはいかない。
なぜかと言うと…

>賃貸用不動産をお持ちですし

賃貸用不動産がインフレに強いのはその通りだが、僕の場合、全資産(と書くと仰々しいが、他に適当な言葉もないので)のうち10%に満たない。
それに貸出先は僕のクリニックを継いでくれた後輩なので、多少の資産インフレでは賃上げを切り出しにくい。

>インフレに負けない収入を得られるであろう医師免許もお持ちです

医師免許の発動は最後の手段ということで(汗)
そんな中、大きなヒントを得たのがこの3つめの指摘だ。

>株式保有比率が40%以上あれば、現状インフレを警戒する必要はほとんどないかと思います。

そうなのだ。僕にも「長期投資において金融資産の30%以上を株式でもてばインフレヘッジは不要」との認識はある。
なのになぜ不安なのかといえば、僕はこれから数年、場合によっては10年近い間、株式のもちっぱなしではほとんど利益がでない可能性があると考えているからだ。
そもそも今回、持ち株比率を大きく下げたのは株価の下落に対する警戒心からあり、この場合、僕の目線は「長期投資」ではなく「中期投資」。
つまり僕にとって「このタイミングで一旦、保有してきた世界株をかなり売却する」というのが中期目線で、「しかし全部は売らず30%程度は保有を続ける」のが長期目線ということになる。
長期目線と中期目線が入り混じること自体は問題ないはずだが、そこをしっかりと分けて考えなかったゆえの混乱や不安が生じていたようだ。

そもそもインデックス投資において、僕のようにタイミング売買を取り入れる投資家は少数派だ。
インデックス投資家のバイブル「ウォール街のランダムウォーク」でも「敗者のゲーム」でも、タイミング売買はすべきではないとされている。
したがって大した教科書もないまま、手探りで自分なりのルールを作ってきたのだが、長期投資と中期投資とを織り交ぜているとの意識がいつのまにか希薄になり、配分に対する根拠が薄弱になったため、結果、自分自身で首を捻る事態になっていたのだろう。

コメントを下さったTさんとはこの後も何度かやりとりをさせて頂いたのだが、僕の「中期目線での投資」については否定的なご意見の様子。

私がタイミング売買をやらないのは、効率的市場仮説の考え方におおむね同意していることもありますが、やはり税金的に不利なところですね・・・。今保有株式を売却すると売却益で税金が取られ、保有残高が下がった状態で再スタートになりますので、自ら下駄をはくことになってしまいます。また、証券会社で勤務しているときも、短期売買を繰り返す顧客はカモにされる一方、長期で株式を保有する顧客は案外利益が出ているケースもありましたので、その経験上長期投資の優位性が腑に落ちたのだと思います。
また、マクロの証券市場は競争相手も手ごわいかと思いますので(東大卒ゴールドマンサックスの人とか普通にいそうですし)、もっと競争相手のレベルが低く緩やかな分野で勝負すればいいのでは、と個人的には考えています。

これも仰る通り。Tさんのご意見に全面的に賛同する。
なのになぜ僕はタイミング売買を取り入れるのか?
明日はそれについて書きたい。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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