「待機資金の置き場」を考えながら、最近の勉強不足を痛感した!


資産運用で株比率を減らしたとき、インフレリスクへの対応はどの程度必要か? という課題に対する、Tさんとのやり取りシリーズ。
今日は最終回で3回目。待機資金の置き場について考えたい。
Tさんからは米国債をお勧め頂いた。

私が内山さんだったら米国債(米ドル)・日本円・金あたりでしばらく様子見かな、と思います。あのバークシャーハサウェイの余剰資金十数兆円も米国債等で運用されているかと思います。

僕は基本的に外貨建て国債に魅力を感じない。日本国債よりは金利が高くても、為替リスク、(その国の)インフレリスクを考えれば、期待リターン/リスクは日本国債と論理的には変わらないはず、と考えているから。
それに現在のドル/円が中期的にみると高すぎるように思えるし、今後アメリカで金利が上がる可能性が高いことを考えると、現時点では適当ではないのではない気がする。
そのようにお返事したところ、Tさんから以下のご指摘を頂いた。

米国債というのはおススメの投資というよりは待機資金の意味合いで、円を持ちすぎると円安リスクがあるので基軸通貨である米ドルに換えて、投資するものがない場合はとりあえず米国債として持っておけば、というくらいの意味合いです。

これまた仰る通り。
というか、僕も自著「幸せの確率~あなたにもできる!アーリーリタイアのすすめ」で同じようなことを書いたではないか!
Tさんからコメント頂くまでは、なんとすっかり忘れていた。以下、自著からの引用。

外国債券には利回りが高いものもあり、安全に大きな利益が得られるような錯覚をおこしそうになりますが、債権の利回りがいい国は基本的にインフレ率が高いことが多く、その分、その国の通貨は下落しやすい状況にあるため、円でみれば期待リターンは国内債券と同じです。繰り返しになりますが、ローリスク・ハイリターンなどという金融商品は存在しません。債権を発行する側からすれば、利回りが低いに越したことはないわけですから、それが高く設定されている場合には、そうしないと買ってもらえない何らかの理由(信用リスクやインフレ傾向)があるはずなのです。外国債券は期待リターンが低いにもかかわらず、為替のためにリスクが割高になるため、単体で考えればミドルリスク・ローリターンといえます。例外的に、資産が円に偏りすぎているので外貨を増やしたいが、株式の比率は上げたくないという場合に、購入した外貨の置き場として利用するのには便利かもしれませんが、ほとんどの個人には縁のないケースでしょう。

ご丁寧に「ほとんどの個人には縁のないケースでしょう」とまで書いている。
どうやらこんな細かい点で思い悩む日が来ようとは、自分でも想定していなかったようだ。

Tさんとのやり取りで感じたのは、自分が投資における基本的理論をずいぶん忘れているということ。
投資を始めた頃、それにアーリーリタイア前は熱心に勉強したし、自著を執筆する時点では自分のためだけではなく、読み物として通用するレベルにブラシュアップするためにかなりの本を読んだ。
ところがアーリーリタイアして早5年、株を持ち続けていれば順調に資産が増える甘い時期を過ごしている間に、いつの間にか捉え方が大雑把になってしまったようだ。

歴史的推移をみれば、今後もこのペースで株価が上がり続ける可能性はないと断言しよう。
そして10年で株価が数倍になるほど好調だった後の10年は、あまりパフォーマンスが良くないことが多い。
例えばNYダウは1990年から2000年までの間に4倍以上に膨らんだが、2000年から2010年の10年間は乱高下の末、やや下落して終わっている(10年持ち続けてリターンがマイナス!)。
そして2010年からのこの11年と半年で、NYダウは3倍以上値上がり。しかも1990年代のような、東西冷戦の終結によるパイの広がりといった実態のある株高ではなく、歴史上類をみない金融緩和による要素が高い。
となれば今後10年は守りの時代になる可能性がそれなりに高いと考えるのが普通だろう。
僕自身は投資家としてリーマンショックを経験し、着実に利益をとってきたので、弱気相場にしっかり備えているとの自負はあるが、「暗黒の10年」といったようなものの経験はない。

アーリーリタイアを続けるための資産をどう守るか。
新しい局面に向けた勉強を少しずつ行っていくつもりだし、自分なりの気づきがあればまたご報告したい。
僕からの矛盾点が多い質問に根気よく答えて下さったTさんに心から感謝し、このシリーズを終える



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ガパオライス(タイ)。
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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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