久々に新型コロナについて。
今回の第5波はインドに惨劇をもたらしたデルタ株ということもあり、専門家の危機感は強かった。
予想が外れることで定評がある専門家、岩田健太郎氏は以前から
https://news.yahoo.co.jp/articles/f0bb0c681cf9d17caaf835213dd7c61efa99bf71「感染爆発の現状を大きく改善させるには、ロックダウンの導入はやむを得ない。緊急事態宣言だけでは限界」
と訴えてきた。
ところが、である。
今回も日本は、諸外国からみれば極めて緩い「緊急事態宣言」でこの波を乗り切りそうだ。
この理由を考えてみたい。
全国の新規感染者数は8月20日の25868人がピーク。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/そこで人流をチェック。
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/information/corona-people-flow-analysis.html7月12日に東京都に4度目の緊急事態宣言を発出したころから、それなりに低下していることがわかる。少なくとも6月~7月初旬と比べればかなり低い。もちろんこの効果はあるだろう。
次にワクチン接種。
2回目の接種を終えた人の割合は、7月の1か月間で15%から30%へと倍増し、9月8日の時点では50%にまで増加している。この効果がないはずがない。
https://ourworldindata.org/covid-vaccinations?country=JPNさらに季節要因。
以前から指摘しているように、新型コロナは空気感染が主体である可能性が高い。
もっと「空気感染」という言葉を使おう! 「飛沫感染が主」では換気の重要性が伝わらないって!それを支持する新しい、有力な論文がこちら。
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abd9149となれば当然、換気のしにくい気候では感染が広まりやすくなる。
日本でいえば冬、梅雨、そして夏。去年の第2波でも8月7日にピークアウトしており、今年もこれに近い経緯であったと考えればむしろ当然の帰結と言っていいかもしれない。
さらに蛇足覚悟で加えると、皆さんご承知のとおり、第5波はいままでの波とは比べ物にならないくらい大きかった。
7、8月に全国で確認された感染者は約70万人。
陽性率の高さから考えれば、実際の感染者はこの数倍にのぼると考えて間違いなく、となれば数百万人。
人口の数パーセントにすぎず、これで集団免疫に近いものが達成されるなどということはありえないが、自粛に消極的な、比較的ハイリスクな層に感染者がより多かったであろうことは容易に推測される。
これによってハイリスク群での抗体保有者率がある程度高まり、感染の拡大防止に一定の効果があった可能性がある(ただしこの効果が大きかったとまでは思わない)。
まとめると次の3つ、人流抑制、ワクチン接種、季節要因によって収束したと考えていいだろう。
加えてハイリスク集団での感染が進み、一定程度の抗体保持者が生まれた可能性も指摘しておきたい。
さて、次の波は来るのか? 来るとしたらいつか?
当面は静かな状態が続くと予想する。秋は換気がしやすいし、ワクチン接種は順調に進んでいるようだ。
問題は去年同様、冬だろう。寒さから換気が難しくなり、かつ、ワクチン接種後半年以上たち、効果が薄れた層が増えてくる。
また、まじめに自粛生活を送っていた人たちも「忘年会くらいは出たい」と、つい活動的になる時期にもあたる。
その頃どのような株が優位になっているかはわからないが、感染性は現在より強まっていると考えるのが自然だ(毒性に関してはわからない。弱まっていればありがたいのだが)。
国には引き続き検査の拡充、特にすでに海外ではスタンダードになっている抗原検査キットによる大規模スクリーニングの実施を期待したい。
抗原検査キットを投入して無症状~軽症者のスクリーニングを!そして換気の啓蒙を! いまだに空気感染を否定し続けるのは、もはや犯罪レベルでは、と僕は感じている。
もっと「空気感染」という言葉を使おう! 「飛沫感染が主」では換気の重要性が伝わらないって!個人レベルはどう対処すべきか?
それはそれぞれの考えがあるだろうから差し出がましいことは言わないが、個人的には感染が落ち着いている(であろう)秋のうちに親しい友人たちとの会食をすませ、籠城の冬に備えようと思っている。
追記)
新型コロナはそもそも人流などとは無関係に2ヶ月あればピークアウトするとの意見をみかけるが、諸外国での推移をみるとそうは考えにくい。
いくつかの国の人口当たり新規感染者数の推移を貼っておく。

ランキングに参加してます。ぜひ一票を。
更新の励みになります!
↓
にほんブログ村
自家製パン。
お料理に興味のある方はこちらの記事をご参照ください。
【我が家お薦めのお手軽料理本】 ベスト3 ~ おいしくて簡単な本を厳選しました!