やはり第5波は「人流抑制」「ワクチン接種」「季節要因」によって収束したんだ思うけど…


先日、「なぜ第5波は収束に向かっているのか? そして第6波は来るのか?」という記事を上げ、第5波収束の理由を、

人流抑制、ワクチン接種、季節要因によって収束したと考えていいだろう。

と結論づけたところ、いくつかの反論を頂いた。
時間の許す範囲で個別にお答えはしたのだが、ここでまとめて記事にしておく。

①人流抑制など起きていないのでは?
人流に関してはいくつもデータがあり、確かに起きていないかのようにみえるものもある。
同じ人流でも、たとえば「ワクチン接種が終了した人が散歩をしている」のと「ワクチン接種をしていない人たちがパーティー会場に向かっている」のとでは状況が全然違うため、数値化するのが非常にむずかしい。
そこで今回は少し角度を変え、「行動変容」についての記事を紹介したい。

感染者急増でマスク着用率が増加 約93%が飲み会にも行かず
https://news.yahoo.co.jp/articles/34d3adb07be8145a0772dfb7a9d806b5c6da4dc3

西村大臣は閣議の後の会見で、8月のマスクの着用率が7月よりも高くなっていたとする調査結果を公表しました。
このほか、8月以降に飲み会に行ったかという質問には93.4%が「行っていない」と答えたということです。
さらに、9月18日からの3連休に外出する予定はあるかという質問に対して、80.2%が「特段外出の予定はない」と答えました。

緊急事態宣言が発出され、飲食店での酒類提供中止が要請され、さらに日々新規感染者数が増えていく状況で、日本人の(平均的な)行動が変わらないわけがないのだ。

こちらはさほど感染者が増えず、まん延防止措置の適応にならなかった新潟県の報道。
https://www.teny.co.jp/nnn/news114vdasukpogjapj6to.html

【「岩室温泉 ゆもとや」女将・高島涼さん】
「9月に入った途端に予約がすごく少なくなったのは(県独自の)「特別警報」が大きい影響だったんだろうなと感じています」
特別警報の発令に伴い、9月だけでも100件以上…、600人を超すキャンセルが入ったといいます。それだけに「県民割キャンペーン」の再開に期待を寄せます。

特別警報の発令だけで多くのキャンセルが入るのが、民度が高く、同調圧力が強い日本の現状だ。
よほど感染ずれしない限り、この傾向は今後も続くと考えていいだろう。
「感染が拡大すれば人々は自粛傾向を強める」
本来はデータなど必要がないような「当たり前の話」に対しても、数値化されたデータを求めるがあまり「木を見て森を見ず」の状態に陥っている人も多いように思える。

②ワクチンは感染抑制に効果がない!
これについては興味深いグラフを教えて頂いた。東京都での高齢者の感染状況。

E_Imme5VEAAWhXB.jpg

接種率が上がったために感染者が収まったのであれば、高齢者の感染拡大の山も起きなったはず、というもの。
この理屈がおかしいことに、皆さんは気づくだろか?
確かに高齢者は夏の時点で2回目の接種を終えた人が多い。しかし高齢者だけが特定の地域に固まって生活しているわけではない。
他の年齢層で感染が拡大すれば、それに比例する形でワクチンを接種済の高齢者の感染リスクも上がる。高齢者と全体の感染者の推移は概ねリンクしていて当然なのだ。
ワクチンの効果は、山の位置ではなく山の高さ、あるいは、感染者にしめる高齢者の割合でみるべきで、もしワクチンによる感染予防効果が50%だとすれば、ワクチンなしだとこの山の高さが倍になったと想定される。しかしピークの時期は同じ。
お互いにほぼ隔離されている「接種国と非接種国」を比べるように、同じ集団に属する「接種済年齢層と非接種年齢層」を比較してはいけない。
もちろん、ある日一斉に高齢者が接種するようなことがあればその約2週間後には大きな変化が生じるだろうが、現実にはそうはなっていないのはご存じのとおりだ。

③季節要因は根拠が薄弱だ!
インフルエンザを挙げるまでもなく、ウイルスにはある程度の季節性があることが多い。
従来からの新型ではないコロナウイルスもしかり。逆に「新型コロナに季節は関係がない」と考えるほうが難しい。
これは北半球の主要国の感染者数の推移。

スクリーンショット 2021-09-11 202259

各国ごとに気候は一緒ではないし、政策も違うからもちろん完全に一致はしないが、それなりに相似していることがおわかりいただけると思う。
東南アジアや南米の国々を入力すると、グラフの流れがまったく異なることがわかる。
興味があればお試しあれ。
https://ig.ft.com/coronavirus-chart/?areasRegional=usny&areasRegional=usnj&cumulative=0&logScale=1&per100K=1&startDate=2020-04-01&values=cases
新型コロナの季節性に関しては、気温や湿度によるとの解釈が一般的だが、僕は単に「換気のしやすい季節かどうか」が問題なのでは? と考えている。
新型コロナの感染はほとんどが屋内で起きている。屋外での気温や湿度に大きな影響があるとはとても思えないのだ。

以上、前回のブログ記事を補強してみた。
前回のブログで僕に同意しなかった人が、これで理解してくれるとは思わない。
僕の目からみると、それらの人々は重度の確証バイアスに陥っているようにみえるが、実は僕の目の方が曇っている可能性もある。
検証は簡単だ。前回のブログで僕はこう書いている。

さて、次の波は来るのか? 来るとしたらいつか?
当面は静かな状態が続くと予想する。秋は換気がしやすいし、ワクチン接種は順調に進んでいるようだ。
問題は去年同様、冬だろう。寒さから換気が難しくなり、かつ、ワクチン接種後半年以上たち、効果が薄れた層が増えてくる。
また、まじめに自粛生活を送っていた人たちも「忘年会くらいは出たい」と、つい活動的になる時期にもあたる。

波が行動抑制、ワクチン、季節性の3本柱によって生じていると考えるなら、(年内に3回目のブースター接種が進むようなことがない限り)当然このような予想になる。
この予想が当たるようなら、僕の以前からの主張が正しいことを理解してもらえる……と一応期待はしておく。
逆に全然当たらないようなら深く反省した上で、僕自身の「思い込み」を総点検するはめになるだろう(汗)。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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