1枚のしおり


7年前の院長ブログより転載

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1枚のしおり

とある平日の朝、たまたま少し早い時間に目が覚めたので、家族が起きてくるまでの短い間、一人でゆっくり過ごそうと思い、気に入っているエッセイ集を手に取りました。私は好きな本は何度も読み返すタイプ。もちろん、新しい本との出会いも大切ですが本には当たり外れがあるのも事実なので、ゆっくり時間がとれるときならともかく、短い時間を有意義に過ごしたいときは以前読んで楽しむことができた本、そして、一編が短いエッセイ集を手に取ることが多いです。
束の間の、幸福なひと時。しかしコーヒーを片手に活字を追っていくうちに、時間はあっという間に過ぎ、すぐに毎朝の活動にうつらなければならない時間になりました。今日も忙しくなりそうだなあ、とその日にやらなければならないことをあれやこれやと思い出し、少し憂鬱な、そして慌ただしい気分になりながら、元々本にはさみこんであったしおりを再度はさみ直そうとしたとき、そのしおりが手製で、メッセージが書かれているのに初めて気づきました。
「ゆっくりと過ごそう!」
そこには子供のつたない字で、そう記されていました。

このしおりは去年の秋、当時8歳だった長男がプレゼントしてくれたもの。徐々に読書の習慣がついてきた長男は、折り紙や糸を使ったメッセージ入りのしおりをいくつか自作し、そのうちの2枚を私にプレゼントしてくれたのです。2枚のうちの1枚「ゆっくり過ごそう!」と書かれた方のしおりを当時読んでいた本に使い、その後、はさんだまま存在を忘れていたのですが、その朝、たまたま手にとったのがその本だったというわけです。
それにしてもナイス・タイミング。ゆったりとした時間を味わっていた状況から一転し、様々な雑事が頭に浮かび、気ぜわしい感情に浸食されはじめていた私の心に、息子からの 「ゆっくり過ごそう!」 というメッセージが、そよ風のように心地よく流れ込んできました。
いくら忙しい一日が待っているとはいえ、まだ何も始めていないうちからイライラしたり、憂鬱になったりするなんて、馬鹿々々しいですよね。それにどんなに忙しくたって、できることは一つずつなんだから、その時やらなければいけないことを淡々と片づけていけばいいだけの話。ドタバタと慌ただしく動き回っても、「ゆっくり過ごそう!」 と微笑みながら一つ一つの事案に丁寧にあたって行っても、それほどかかる時間は違わないと思いませんか?
体を忙しく動かしながらも、
「気持ちはそれとは別!」
と切り離して、ゆったりとした感情をたもつことは可能なはずだし、そうしたら一日はずっと素晴らしいものになってくれるはず!
長男がそんなことまで考えてそのセリフを書いてくれたのだとは思いませんが、それでもそのしおりによって癒されたのは事実。素敵なプレゼントを作ってくれてありがとう、と長男に感謝の朝でした。
 
ちなみに長男がくれた2枚のしおりのうち、もう1枚の方は使わないまましまってあります。そう言うと長男はがっかりするだろうから、使っていないことは秘密にしているのですが。
だって、そのしおり、「読書の秋」 のつもりだったんだろうけど、「読書の秒」 って書いてあるんだもの 。使っていて人に見られたらちょっとはずかしいし、何よりも、これは数年後、長男をいじめるときのためにしっかり保存しておかないと!
せっかく素敵なしおりをプレゼントしてくれて、しかもゆったりとした気持ちを呼び起こしてくれたんだから、なにもそんな意地悪を企まなくっても、って?
う~ん。それとこれとは、別! (笑)



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近所の市場で買ったウニ甘えび丼。650円。

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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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