カクテルを家庭で楽しもうとする際、ジントニックやキューバンリブレといったロングカクテルならともかく、ショートカクテルは難易度が高い印象があると思う。
今回、誰でも簡単につくれる方法を発案したので紹介したい。
本記事で例示するのは「カクテルの王様」ことマティーニ。バーテンダーの実力がもっとも問われるこのカクテルを、素人が簡単につくることができるのである。

まずは本来の作り方。
① ミキシンググラス(大きなグラス容器)に大ぶりな氷を入れる
② ジンとドライ・ベルモットをそれぞれの分量入れる(ジン8割、ベルモット2割が大体の目安)。
③ マドラーもしくはバースプーンで中身が冷える程度にかき混ぜる(いわゆる『ステア』というやつ)。
④ 氷が入らないように中身だけをカクテルグラスに注ぐ
⑤ オリーブを沈めて完成
たったこれだけなのだが、多くの人はミキシンググラスが必要という時点で面倒に感じるだろう。
それに③の「ステア」は「シェイク」より氷が溶けにくく、薄まりにくいのが特徴であり、下手な人がやると台なしになってしまう(基本的にはシェイクより難しい)。
材料がシンプルでごまかしが効かず、かつステアの力量が問われるのが、バーテンダーの技術が問われるカクテルの筆頭に上げられる由縁だ。
それを素人が簡単につくるには、難関である「ステア」をすっ飛ばしてしまうこと。
そもそもなぜステアするのかと言えば、材料を混ぜながら素早く冷やすため。なら材料を最初から冷やしておけばいいのだ!
ジンはアルコール度が高いため、冷凍庫に入れても凍らない。よってあらかじめ-20℃程度に冷やしておくことができる。
以下は内山流の作り方。
① カクテルグラスにベルモットと氷を入れる(ここで少し氷が溶けるが、ステアでも少量は溶けるのでむしろちょうどいい)
② カクテルグラスとベルモットが冷えたら氷を箸で取り除き、そこに冷凍庫で冷やしたジンをベルモットの4倍程度投入。
③ 箸で軽くかきまぜた後、オリーブを沈めて完成。
ね。簡単でしょう。
これで一流のバーテンダーが作ったようなマティーニが本当に完成する。
しかも実際のマティーニはすぐに飲まないと温度が上がり、味が落ちてしまうのに対し(3口で飲めといわれる由縁)、この製法ではより低い温度で仕上がるため、多少放置しても温まりにくいメリットがある。
そしてできればジンにもこだわってほしい。製法で書いた通りマティーニはほとんどがジンなので、安物のジンではどうがんばってもそれなりの味にしかならない。
僕がすすめるのは「モンキー47」。
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ジンにしてはちょっとお高いが、1本あれば相当の期間もつし、そこそこいいウイスキーと同じくらいの値段と考えれば十分にリーズナブル。ここで2-3000円をケチってしまうのは逆にもったいない。
モンキー47を使い、上記製法でつくったマティーニは、一流のバーで出されるものより上をいっていると僕は思っている。
ちなみにジンのボトルごと冷凍庫に入れるとスペースをとるので(僕はそれでかまわないのだが妻に怒られるので)、ジンを100ml入りのプラスティック容器に移してから冷やしている。メモリがついているので、ジガーなしで注ぐ量もチェックできて便利だ。
本記事ではマティーニを紹介したが、マンハッタンであろうとダイキリであろうと、同様のやり方を応用できる。肝は主となるスピリッツを冷凍庫で冷やしておくということ。
さて、すばらしすぎると自画自賛せざるをえないこの製法に何か落とし穴はないのか?
ここで僕がマティーニをつくっている姿をぜひ想像してみてほしい。プラスティック容器に入ったジンをカクテルグラスに注ぎ、箸で氷を取り除いている姿を。
そう、この方法の唯一の欠点は、作る様子に優雅さの欠片もなく、実にダサいこと。いくらおいしくても採用するバーは皆無だろう。
だからカクテルをつくって異性からもてたいといった、動機が不純な人には向きませんよと忠告して、今日のブログはおしまい。
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