FIREしてから大量の本を読んでいる。こんなに本を読むのは、もちろん人生で初めてだ。
先日読んだのは永六輔さんの孫、永拓実さんによる“大遺言”(小学館)。
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永六輔さんが残した言葉をエピソードを交えて紹介している本で、心に染みるフレーズがたくさんある。
“P32
知識でしゃべらず、
知恵でしゃべる。
何を説明するかじゃない。
何を伝えたいか考える。“
いつの時代も知識と知恵とを混合している人は多い。
ものを調べるのに書庫が必要だった時代と違い、ネットがこれだけ発達した現代においては、知識のもつ意味ははるかに少なくなったと僕は考えている。
知りたいことは検索で大概のことが出てくる。
むしろ圧倒的に大切なのは、それをかみ砕いたり、色づけをしたりする「知恵」であり、そのためには知識に加え経験と考察力が必要になってくる。
話をしていても知識ばかりを語る人は個人的にはつまらない。それならPCでもいじっているほうがましだ。
僕自身、知識ではなく知恵を深めたいとは常日頃から考えていて、残りの人生における目標のひとつになっている。
“P41
仕事は人生の
ごく一部でしかない。
一番やりたいことに
こだわろう“
まったく同意。
やりたくない仕事のために振り回されているようなら早めに経済的独立をはたして、興味のあることに専念できる状況をつくり出すことが、自分自身の人生を真に生き抜くためには重要であるように思える。
“P50
変だと思うことに
疑問を持ち、
時間がかかっても
自分で解決しよう“
10数年前、開業医としてある程度の成功を収めた僕はそれなりの収入を得るようになった。
おおっ、これはいいぞ、と決して安くはない外車を買った。高いバーで飲むようになった。
ところが幸せを感じるのは最初だけで、それに慣れてしまった後は(そしてあっという間に慣れた)、さっぱり幸福度が上がっていないことに気づいた(心理学で『快楽順応』と呼ばれる現象だと、後になって知った)。
幸せが経済的成功の先にはないのなら、一体どこにあるのだろう? とさまざまなジャンルの本を読み漁り考察した結果、僕は自分が興味のあることにしっかりと打ち込める人生を選択し、2016年にセミリタイアすることになる。
今の僕があるのは、あの時ふと感じた、「ある程度以上の経済的豊かさは幸せにつながらないんじゃないか?」という疑問を放置せず、自分なりに考えた結果なのだ。
だからこの言葉には強い共感を覚える。
“P68
無駄なことは
何もない。
無駄にする人が
いるだけだ“
気持ちがくじけそうな時に、思い出したい言葉だ。
“P93
歩くことも旅。
いろんな目を持って歩けば、
様々な「気づき」がある“
このあたりで、「どうも仏教的だな」と感じたので調べたところ、永六輔さんは寺の息子として育ったのだそうだ(ほら、疑問があればちゃんと調べているでしょう? 笑)。
身近なところに様々な「気づき」があることは、僕もアーリーリタイアしてから強く感じるようになった。
“P137
他人と比べても仕方ない。
他人のことが気になるのは、
自分が一生懸命やって
いないからだ“
開業医時代、僕は僕なりに一生懸命やっているつもりだったが、それでも他のクリニックの動向は気になった。その頃にこの言葉を聞いたら、反感をもっていたと思う。
ところが今は他人と自分の境遇とを比べることがほとんどなくなった。
あの頃と今とではいったい何が変わったのだろう?
開業医時代には、やはり「成功したい」、「人より上に行きたい」という思いがあったのだと思う。情熱がさらに高まればその邪心が消え、他人と比べる気持ちは自然に消えていくということが、僕はアーリーリタイアとその後の活動を通じて実感できたというわけだ。
実に厳しいが、鋭い言葉だと思う。
“P159
怖がらなくていい。
死ぬということは、
旅から帰るようなもの。
家に帰れることへの
安心感もある“
これもいい言葉。
書きとめておいて、晩年に読み返したい。
以上、自分への備忘録も兼ねて記事にしてみた。
いい言葉は心の良薬としみじみと感じる本であった。
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