“右脳と左脳に違う単語を表示してみる。たとえば、左脳に時計、右脳にドライバー、と見せる。すると、目の前に並べられた物の中から、きちんと時計とドライバーを選べる。もちろん、本人には時計と表示されたことだけが意識にのぼる。左脳だからね。にもかかわらず、ドライバーも一緒に手に取る(内山注;ドライバーは右脳に表示されたので、本人の『意識』には残らない)。
そこで理由を尋ねてみる。「なぜ時計とドライバーを持ったのですか」と。するとこんな答えが返ってくる。「時計という単語がモニターに出ました。だから時計を取りました。でも、時計が止まりそうだったから、電池を交換しようと思ったのです」“
“こうした無意識の行為を「作話(さくわ)」と言う。僕らの考えていることのかなりの部分は、おそらく作話なんだと思う。”
“僕らも同じように、いつも歪んだ主観経験の中を生きている。単に、その推論に論理的矛盾が生じない限り、「自分はウソをついている」ことに気づかないだけのこと。“
前回、僕らは無意識のうちに「感情」を「経験」に合わせていると書いたが、これもまた強烈だ。“そんなわけで僕らは「本当は自分が道化師にすぎない」ことを知らないまま生活している。根拠もないくせに、妙に自分の信念に自信をもって生きている。
そんな傲慢な僕らは、やはり「人間って生き物は主観経験の原因や根拠を無意識のうちにいつも探索している」という事実を、もっときちんと認識しておくべきなんだろうね。そうすれば、もう少し自分に、あるいは他人に対して謙虚になろうって思えてくるでしょ。“
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内山 直
作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。