収入も資産も一定水準で幸福度は頭打ちになるのに、人生の評価は上がり続けるって矛盾だよね


幸福とお金の関係をアップデート。
昨日から「幸福の測定―ウェルビーイングを理解する」を紹介している。


まずは日本人にとってのお金と幸福度。
お金と幸福度の関係については、海外でのデータを見せられてもピンとこないことがあるので、実際に日本で行われたデータというのはありがたい。
まずは保有資産。額が増えるほど幸福度が上がる傾向はあるが、1億円から1億5000万円あたりで頭打ちで、1億5000万円以上だと少し下がっている。
次に年収。これも1500万円から2000万円がピークで、それ以上だと逆に幸福度が減少している。
つまり保有資産にせよ収入にせよ、多くの人が「お金持ち」と感じるラインまでは幸福度と正の関係があるが、一定水準に達するとお金による幸福度の引き上げ効果が小さくなるということ。
ここでプラトーに達するのではなく逆に下がっているのは不思議だが、あえて理屈をつけると、
「お金による幸福増大効果が小さいわりに、仕事量やストレスが増大し、ネガティブな要素が優位になる」
といったところか。
ちなみにここで書いた幸福度とは「感情の幸せ」であり、「人生の評価」や「生活満足度」は前述した水準を超えても上昇を続けるとの報告が多い。
つまり日本人は「一定以上の経済的豊かさは感覚的な幸福には寄与しない」と感じながらも、「人生の評価」では経済的豊かさを重視するという矛盾を抱えていることになる。
そんなのどこでも一緒なんじゃないか、と思う方もいるかもしれないが、実はここからが興味深い。
確かにアメリカやイギリスでは日本同様、「お金が増えてもあるところで幸福度の上昇は止まるが、人生満足度は上昇を続ける」という傾向がある。
しかし他の多くの国、たとえばスウェーデン、オーストラリア、オランダ、シンガポール、カナダ、ドイツ、フランス、イタリア、ギリシャなどではある程度収入が増えると、そこからは人生満足度も上がらなくなるのだ。
以下は引用。

これらの国々では所得以外のものの重要性に気づき始めている可能性が指摘できるのではないでしょうか。言い換えるなら、日本ではいまだに平均的には所得以外の要素の重要性に気づいていない人が多いのかもしれません。もっと言えば、まだまだ人生の評価の意味では所得が重要とみなされており、そのことが所得以外の幸福にとって重要な要素を軽んじることにつながっている。その帰結として日本の幸福度の低さに影響している可能性があるのです。

物質主義より非物質主義のほうが幸福度には重要であるということを述べる研究が多数存在するとのこと。
たとえば物質主義的な人びとは人とのつながりを軽視する傾向にあり、そのことが幸福度を低下させるという指摘。
また、アメリカのデータではあるが、所得に関係なく、お金を重視する人は家族関係の満足度が低くて幸福度が低いとされている。
結局、幸せに生きるためにお金が貢献するのは一定水準までであり、むしろ「家族」「交友」「やりがい」といったことを追求した方が幸福度は上がりやすいということになる。
僕が40歳代半ばで開業医の地位を捨てアーリーリタイアしたのも、このことがしっかりと腑に落ちたからに他ならない。
もちろんお金は大切だ。でもお金にこだわりすぎて消耗していると、本当に大切なものが指の間から抜け落ちるがまま時間がどんどん過ぎてしまうよ、といつもながらの忠告をして今日のブログはおしまい。
明日はこの本からの紹介も最終回。
「幸福と人とのつながり」について紹介したい。





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温泉での1枚。

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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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