先日、オミクロン株の脅威を訴える記事を上げた(
オミクロン株は感染率は高いけど重症化率の低さで相殺される……って本当?)
感染力と重症化率を比べたら前者のほうが圧倒的に重要であり、ゆえにオミクロンの脅威ははかり知れないという内容で、多くの人に支持を頂いたが、この考えはまだまだ主流になっていない。
報道をみる限り、
「感染率は高いが、その代わり重症化率は低い」
と両者をイーブンに扱っている専門家、有識者ばかりだ(アホなの?)。
そこで今日は現実の数字でシミュレーションをしたい(前回の記事ではわかりやすさを優先したためキリのいい架空の数字を使った)。
諸外国のデータだとオミクロン株はデルタ株と比べ重症化率が低く、入院が必要になる確率は30-50%程度。一方で感染力は強く、デルタ株の3-4倍とされている。
昨夏に起きたデルタ株に夜第5波では全国の新規感染者数は1週間で約1.4倍に増えた。オミクロン株がデルタ株の3倍の感染力をもつようなら、1週間で4.2倍新規感染者数が増えることになる。
1月13日(木)の全国の新規感染者数は1万8860人。
これがデルタ株であれば予想される新規感染者数の推移は、1週間後の1月20日に2万6000人、1月27日に3万7000人、4週間後の2月10日には7万2000人となる。
第5波でのデルタ株の重症化率0.66%(東京都で人工呼吸器やECMOエクモが必要となった患者の割合
https://www.tokyo-np.co.jp/article/154044 )をそのまま当てはめると、2月10日に感染が報告された人のうち重症化するのは478人ということになる。
一方、オミクロン株で計算すると新規感染者数は1月20日に7万9000人、1月27日に33万3000人、4週間後の2月10日には586万9000人となる。
重症化率が3分の1で0.22%と計算すると、2月10日に感染が報告された人のうち重症化するのは1万3000人と、デルタ株で想定される27倍になるのだ。
この数字はあくまでもこの1日のもので、実際には重症者は一定期間蓄積されていくので、その時点での重症者数はデルタ株の数百倍になると考えられる。
「感染率は3倍だけど重症化率は3分の1」はちっとも「相殺される数字」ではない。感染率は重症化率よりはるかに重要なのだ。
(*もちろん現実ではここまでにはならない。その前に集団免疫に近い状態が成立するだろうし、第一検査がまったく追いつかない)。
すでに大きな感染爆発を経験した欧米では感染率の高さはさほど気にならないのかもしれないが、日本の場合、第5波とは比べものにならない大きな波になる可能性が高い。
国民の抗体保有率も気になる。常に一定数以上の感染者がいる欧米では、感染やワクチンでつくられた抗体が、その後も周囲の感染者との軽い接触で再活性化されているケースも多いはずだ。
ところが日本は第5波以降、感染を見事に抑え込んできた分、ワクチンで得られた抗体は活性化されることなく、ほとんどの国民で減弱していると考えて間違いないし、特にオミクロン株に対するワクチンの効力は比較的小さいので、ここからはかなり無防備な状態に戻る可能性が高い。
となれば感染者数は第5波を軽く上回り、日本のあちこちで医療崩壊が生じる恐れあると考えるのが普通だろう。
ブースター接種が進み、治療薬がある程度いきわたるまでは早め早めの行動抑制で乗り切る必要があるのだが、現時点で東京や大阪はまん延防止等重点措置の適用すら求めていないし、国民にも以前のような危機感が見受けられない。
ちなみにオーストラリアは現在、オミクロン株による感染爆発が生じており、死者数も過去最高に達している。
https://twitter.com/chibicode/status/1481476906482499585僕は去年から日本でも早晩オミクロン株の大流行が起き、大変な闘いになるだろうと警告してきたが(
新型コロナウイルス。来年の展開を予想する)、専門家や政治家からはいまだに強い危機感が感じられない。
ブースター接種を進めるのはもちろん重要だが、これには限界がある。状況は待ったなし。
今政治ができることは「1日も早い緊急事態宣言の発出」、これしかない。
「感染率3倍」の恐ろしさが多くの人に共有されることを願ってやまない。
それにしても日本の感染症専門家たちのレベルの低さたるや……
ランキングに参加してます。ぜひ一票を。
更新の励みになります!
↓
にほんブログ村
つまみみたいな夕食(もちろんいい意味で)。
お料理に興味のある方はこちらの記事をご参照ください。
【我が家お薦めのお手軽料理本】 ベスト3 ~ おいしくて簡単な本を厳選しました!