医師の端くれとして、非常事態宣言の延長を支持する

本日、非常事態宣言が1カ月程度延長される予定だ。
細かい内容はまだわからないが、僕はこれを支持する。

いくつかの疑問がテレビやネットから聞こえてくる。
「死者数も実効再生倍率も、欧米ならロックダウンを解除するレベルだ」
「専門家会議は医者ばかりで経済への配慮がない」
などなど。
確かに難しい問題だが、医師の端くれとして自説を述べたい。

まず、規制緩和の基準を欧米に倣おうという意見はおかしい。
初期の抑え込みに失敗し、オーバーシュートを起こした国々とは、その後の対策も当然違ってくるはずだ。
国際比較は僕が調べた限りではFinancial Times のものが一番見やすい(無料で公開され、毎日更新されている)。

https://www.ft.com/coronavirus-latest

一番大切なのは最初に出てくるグラフで、1日の死者数の推移をグラフで表している。

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横軸は初めて1日の死者数が3人になった日がスタートだから、グラフの長さ(経過週数)は国によって違う。
対数グラフになっているので、縦軸の人数には注意してほしい(一見すると日本での死者数はアメリカの3~4分の1くらいに見えるが、実は200分の1程度にすぎない)。

このグラフをみると、世界がふたつの群に分かれているのが見て取れる。
アメリカやヨーロッパの大半、それにブラジルは感染爆発を起こしてしまった。
その下にトルコ、ロシア、インドが続くが、これらの国々で死者がどの程度正確にカウントされているかは疑問だ。
実際はもう少し多い、つまり欧米に近いところにある可能性も高い。

もうひとつの群は、グラフの下方で死者数が推移している。
見事な成功を収めているのが、中国、韓国、オーストラリア、加えてグラフにはないが、台湾やニュージーランド。
香港もグラフには(もちろん)ないが、市中感染者はこの2週間ひとりも出ていない。
日本はこれらの国々よりは死者数が多い。
しかしもう少しで仲間入りできる位置につけている。
あとひとがんばりなのだ。

自粛解除のタイミングを決めるのにあたり、感染爆発でどうにもならなくなった国々を参考にするのはナンセンス。
1日の新規感染者数を10~20人程度に抑え込むことができれば、そこからは対策がぐっと楽になる。
クラスター班が活躍し、火が小さいうちにそのつど消火活動ができる。
経済活動も通常に近い状態に戻せるはずだ。
(現に中国、韓国、香港などではそうなっている。)

緊急事態制限によって多くの人が経済的に困窮していることは僕だって知っている。
しかしここで中途半端な解除をすれば、すぐに元の状態に戻ってしまいかねない。
その結果、緊急事態宣言が繰り返される事態が経済的には最悪だ。
医療も崩壊するだろう。
それよりもあと1カ月我慢して、その後、緊急事態宣言が繰り返される可能性をできるだけ低くするほうが遥かに効率的だ。
現にいくつかの国々、特に東アジアでは成功しているのだ。日本人にとってハードルが高すぎるとは思わない。


僕だって行政には山ほど不満はある。
なぜPCR検査数を増やせない?
被害の甚大な産業への補償が不十分だ。
そして、すべてが遅すぎる。
一番ひどかったのは欧米からの入国拒否で、開始されたのはなんと4月に入ってからだ。
これをあと1~2週間早くできていれば、日本はとっくに「優等国」入りしていた可能性が高い。

しかし、終わったことを責めてもしかたがない。
最終的に人が責任をもてるのは、自分自身についてだけだ。
僕にできることは、家にいること。

相変わらずSNSでは素人たちが視野の狭い議論を戦わせている。
専門医よりも感染症に詳しい(らしい)人々が続出している。
開いた口がふさがらない。
基本的知識の欠如に加え、「収入が減って困っている」、「遊びに行きたい」、「今まで言ってきたことを間違いだと認めたくない」といった感情によって認知バイアスがかかっているのだろう。
論理が完全に破綻しているものも見受けられる。

もちろん言論は自由だ。
しかしそれらの未成熟な言説に影響をうけ、「自粛など不要」と考える人が出てこないかが心配だ。

その道の専門家たちが、僕らがもっているよりもはるかに多くの情報をもとに、ぎりぎりの判断をしている。
僕が、そしてあなたが思いつくようなことは、すでに議論し尽くされているはずだ。
重箱の隅をつつくような非難はやめ、全面的に支持、協力しようではないか。
国民が一致団結することが必要なのだ。
結果的に判断が誤りだったということになれば、そのときには思う存分糾弾すればいい。
今はその時ではない。

緊急事態宣言の延長はこれが最後と考えて、まず間違いはないはずだ。
僕らひとりひとりが気を緩めないことが、その前提になる。

Stay home。共にがんばろう。


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昨日はギリシャ・ナイト!
ムサカ&グリーク・サラダ(もちろん at home)。

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内山 直

2016年、47歳でセミリタイア。地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で、遺伝が50%。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってきます!

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