諸外国の動きを見るとオミクロン株の感染拡大は早期に収束する模様…って、冗談じゃないよ!


オミクロン株では感染者が急増するが、諸外国や沖縄をみる限り早期にピークを打ち、減少に転じるとの楽観的意見がワイドショーやSNS上で聞かれるようになった。
本当にそう考えていいのだろうか?
こちらはEric Topol氏のツイート

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確かに多くの国で急拡大後、突然新規感染者数が減少に転じている様子がみてとれる。ところが「なぜこれが起きるか」についてはまともな考察がなく、専門家たちも首をひねるばかりだ。
僕が考える唯一の蓋然性がある説明は、「それらの国々では局所的にせよ集団免疫に近い状態が得られたのではないか?」というもの。
これらの国々ではほとんどの場合、ブースター接種率が高く、それまでの既感染者が多く、かつオミクロン株による感染の波も高い。多くの人々が高レベルの抗体を保有しているのなら、それ以上広がらなくて当然、という見方ができるはずだ。
さらにピーク時の新規感染者数は人口の0.1-0.5%だから、日本の人口換算だと1日に12-60万人。
たとえ短期間であってもこれだけの感染が続けば。国全体でみた場合の抗体保有率が十分ではなくても、感染流行地域に住む感染リスクの高い人々には概ね感染がいきわたった可能性がある。
実はこのレベルの感染拡大はオミクロン株出現以前から南の小国(や地域)においてたびたび起きていた。しかしいずれの場合も新規感染者数が人口の0.3-0.4%あたりまでくるとそこからは縮小に転じていた。

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オミクロン株出現前にモルジブ(青)は今回のイギリス(水色)同様人口の0.3%、タヒチのあるフランス領ポリネシア(黄緑)ではオーストラリア(ピンク)同様0.4%あたりまで感染が拡大した後で急速に収束している。
決して都合のいいデータを抜き出しているわけではない。調べてもらえばわかるが、過去の推移ではこのレベルが上限で、さらに高い波はない。
このくらい感染拡大が進めば少なくとも局所的には集団免疫が成立し、感染縮小に向かうと考えれば決して不思議な現象ではなく、またオミクロン株固有の特徴でもない。
「オミクロン株の感染拡大は短期で終わる」ではなく、「感染がある程度拡大すれば一旦は止まる。そこへの到達がオミクロン株では早いだけ」と考えた方がよほど論理的ではなかろうか?
加えてここまで感染が拡大すると、かなりの軽症感染者が捕捉されていない可能性も指摘しておきたい。

これに対し、
「日本でも沖縄では感染拡大が止まりそうだが、あの程度の感染者数で集団免疫に近い状態が得られたとは考えにくい」
との反論もある。
その通りだが、僕は沖縄に関しては別の原因を考えている。
そもそもこのウイルスは夏や冬の換気が難しい季節に拡大しやすいというのは以前から訴えてきた通りだ。沖縄の冬は温暖で換気がしやすいため、沖縄の感染の波をみると以前から夏の方がはるかに大きいことがわかる。
(参考記事;新型コロナウイルスは「夏」と「冬」。すなわち換気が難しい季節に拡大しやすいと考えればわかりやすい
基地からの流出で瞬間的に流行が拡大したものの、そこからの人流低下で抑え込んだと考えれば、これも説明がついてしまうのだ。
今後も沖縄県の感染状況は他の都道府県と比べ良好に推移すると予想しておく。

僕の考えが正しい保証はどこにもないが、少なくとも国内外の状況を「理論的に説明できている」点は強調したい。
「なぜかわからないが諸外国では感染の波が急に縮小に向かうから、日本でもじきにそうなると期待できるはず!」
よりは説得力があると思うのだが、どうだろう?

昨秋、第5波が急激に縮小した時もほとんどの専門家は「理由がわからない」と首をかしげていたが、当時から僕は、
「秋は換気がしやすいので感染が収縮して当然。前年の秋もそうだった。加えて今は『ワクチン打ち立て効果』もある。今年も秋の間は平穏な日々が続くだろうが、残念ながら『ワクチン打ち立て効果』が消え、換気がしにくくなる冬には第6波が来る」
と予想していた。
(参考記事:なぜ第5波は収束に向かっているのか? そして第6波は来るのか?
一応は筋の通った説明だと自分では思うし、現に予想通りの展開になっている。

話を戻して、日本でもオミクロン株の感染拡大はあるポイントで減少に転じると期待していいのかについて。
僕の答えは、
「十分な行動規制や自粛があればもちろん期待していい。なくても期待はできるが、その場合は諸外国のように1日の新規感染者数が10万人以上という状態がしばらく続いた後になる可能性が高い」
となる。
後者では当然ながら医療は崩壊し、かなりの社会活動が停止を余儀なくされるだろう。
これが明るい兆候? 冗談じゃないよ。ちょっとは考えてから発言してくれ。
日本でも換気が容易な春になれば感染は収束しやすくなる(今の沖縄のように)。ブースター接種も春までにはかなり進むだろう。再三書いて来たとおり、問題はこの冬だ。

緊急事態宣言を1日でも早く発出し、人流抑制を図るべきと改めて強調しておく。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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