オミクロン株の脅威を楽観視する論客に物申す


オミクロン株については年初から、「感染率の高さは重症化率よりはるかに重要。よって大変な脅威である」と繰り返し主張してきた。
https://fire-earlyretire.com/blog-entry-682.html
しかし最近は「新型コロナもそろそろインフル並みだよね」と主張する論客が増えている気がするため、重要な点を整理しておきたい。
まずは致死率と重症化率。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7fe5ee363d75247ffbdf96fb3fa3590dda62bb7f
2月2日に開かれた厚生労働省に感染症対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の会合で日本でのデータが示された。
結果をまとめると、

60歳以上の重症化率は5.0%から1.45%に、致死率は2.5%から0.96%に低下。
接種を受けていない場合、60歳以上の重症化率は5.05%、致死率は4.04%。

確かに低下はしているが、まだまだあなどれない数値にみえる。
インフルエンザと比較したい方は、アメリカからのツイートだがこちらもわかりやすい。
https://twitter.com/jburnmurdoch/status/1488089690045562882
インフルよりはるかに高かった新型コロナの致死率は低下し、60歳以上でインフルの2倍、40歳以下ではインフルより低くなっている。
ただしアメリカは日本よりはるかにブースター接種が進んでいる点には留意する必要があるし、例え致死率がインフルエンザ波になったとしても、新型コロナは「感染力」「後遺症」「変異のしやすさ」といった点ではるかにタチが悪いことはご理解いただきたい。

収束時期についてはインフルエンサーたちがこぞってピークアウト間近と推測している。
三浦瑠麗氏 2/3
https://twitter.com/lullymiura/status/1489163343042867202

(東京の場合)7日間移動平均でのピークアウトは変わらず2月1-9日、同ピークの人数は17300-17800人です。ピークアウト間近です。

藤原かずえ氏 2/3
https://twitter.com/kazue_fgeewara

ピークアウトまでもう少しですね!

やたら威勢がいいがしょせんは医学の素人。下記の要素を十分に加味しているとは思えない。
・オミクロンは学校や園での感染が多く、自粛度合で計れない部分が大きい
・集団免疫が一時的であれ成立したとおぼしき国のデータはそのまま使うべきではない
・検査キャパ不足を加味する必要性
・感染力が比較的強いとされるBA.2株の脅威
本来予測はこのような医学的知見を踏まえて行われるべきだが、この人たちは数字だけいじれば確度の高い予測になると確信しているようで怖い。
そしてさらに考えなければならないのはオミクロン株の「世代時間の短さ」。
オミクロン株が急拡大しているのは感染力が強さより、人が感染してから周囲にうつすまでの期間の短さが大きく影響している。
https://fire-earlyretire.com/blog-entry-697.html
この世代時間を正しく踏まえないと実効再生産数はわからない。
下はやはりアドバイザリーボードに西浦博氏が提出した資料。p44。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000888040.pdf
スクリーンショット 2022-02-03 165615
マスコミやSNSで流布されている、世代時間を4-5日に設定した実効再生産数グラフとはずいぶん受ける印象が違うはずだ。
週ごとに増加率が低くなっているので実効再生産数が切り下がってきているのは事実だが、多くの人が感じているほど順調な下がり具合ではない可能性がある。

これらを踏まえ、僕は多くのインフルエンサー(と一部の医師!)が主張する、
「新規感染者数はそろそろピークアウトし、その後速やかに収束」
というシナリオはまず起こらないと考えている。
ピークアウト自体は今月中旬あたりだろうが、実はそこに大きな意味はない。本当に問題なのはピーク後の起きる新規感染者数の推移で、これは緩やかにしか減少しない可能性が高いと僕は考えている。
https://fire-earlyretire.com/blog-entry-699.html
その場合、日本全国で7~10万人程度の新規感染者がしばらくの間続く可能性が高い。デルタ株による第5波ではピーク時で2万6000人だから、特に累積でみた場合とんでもない数の感染者となる。
本格的な収束は春が近くなって換気がしやすくなってから。となると3月に入る頃からとなる公算が高い。
となれば結局、僕の主張は変わらない。
「一刻も早い緊急事態宣言を」
さらに感染拡大の主体となっている学校、保育施設の閉鎖を強く求めたい。こちらは市民生活に与える影響が特に甚大なため長期間である必要はない。今月に2回ある祝日をうまく理由して1~2週間休校できればそれだけで一息つけるはずだ。

政府も首長たちも「自分が主導する形での緊急事態宣言発出は避けたい」との政治的判断からチキンレースに陥っている。危機を強調する専門家は少なく、やけに「のどか」にすらみえる。
国民が疲弊しきってから宣言を発出する意味がどこにあるのだろう? 感染拡大による自粛期間を長期化させ、経済を疲弊させてから宣言を出して首を絞める気なのか?
早めに出して早めに解除したほうが医療面でも経済面でも被害は軽く済むに決まっているのに。

僕には本当に本当に不思議でならない。



ランキングに参加してます。ぜひ一票を。
更新の励みになります!
    ↓
にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村


スポンサーリンク

内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

検索フォーム