日本で第6波の「急速な」収束が期待できない6つの理由。


日本でも首都圏を中心に第6波がピークアウトした可能性が高い。そして一旦ピークアウトすれば急速に収束すると考えている人が多いようだ。
たとえば医師の木下喬弘氏。
https://news.yahoo.co.jp/articles/49d7ca756716156ed6e364e88246b5b0dd090be1

実効再生産数が1を切ったら、その瞬間から急速に下がってくるはずです。なぜ1を切ったら下がってくるのかというと、オミクロンも爆発的に感染しているわけではなくて、感染対策をしている人たちはある程度守られているわけです。しかし、20代、30代の若い人の中には、コロナを怖いと思っていなくて、しょっちゅう飲み会をしている人もいます。そういう人たちは感染の中心にいて、オミクロンにかかりやすい。しかし、彼らのコミュニティの中で感染者が増えて、極端な話ですがほとんどの人が感染してしまうと、一定の免疫を持つまでそのコミュニティには入らなくなるでしょう。すると、そのコミュニティの中で感染者が減っていくのです。

すでにうつりやすい人はほぼ感染しつくしたという意見。これは宮沢孝幸氏が以前から提唱している「目玉焼き理論」とほぼ同一。
その他にも「海外では収束は急速」「国民は十分自粛している」(三浦瑠麗氏)、「世代時間が短いので収束も早い」(知念実希人氏)といった主張もある。
インフルエンサーたちが複数の根拠を示して主張しているくらいだから、日本でも海外の国々でみられたような急速な波の収束が起きると期待していいのだろうか?
以前から繰り返し書いているように僕は難しいと考えており、その理由を6点述べたい。

① この程度の累積感染者数で集団免疫に近いものが形成されたとは考えにくい
急速に収束した諸外国と日本とのピーク時の感染者数を比べてほしい(人口当たり)。
スクリーンショット 2022-02-18 103813
諸外国では多くの人が感染し抗体を保有したため、一時的に集団免疫に近い状態が成立し、感染者数の急減につながったのは理解できる。
https://fire-earlyretire.com/blog-entry-692.html
はたして同じことが日本レベルの感染者数で期待できるのだろうか?と考えると、そう単純な話ではないとわかる。
海外でも対策によってオミクロン株を抑えた国はピークアウト後の収束ペースが鈍い傾向があるようだ。
https://fire-earlyretire.com/blog-entry-699.html

② 第6波は学校、保育施設関連の感染者が多い
子供の感染が多いのがオミクロン株の特徴。
もしこれが第5波までのように飲食店経由が多いのであれば、木下氏が指摘するように「うつるような行動をしている人はほぼ感染した」との理屈も成り立つのかもしれないが、第6波は明らかに様相が違う。
さらに、飲食店の利用自粛が第5波までのような効果を及ぼさない可能性も指摘しておく。

③ 陽性率が高止まりしており、十分検査できていない可能性がある
下は東京都のデータ。
スクリーンショット 2022-02-18 101225
新規感染者数が減れば普通は検査陽性率も下がるのだが、なぜかその気配がない。はたして感染者数の実態を把握できているのか疑問が残る。

④ 発熱相談センターにおける相談件数が高止まり
下も東京都。相談件数は検査陽性者数と違い報告までのタイムラグがない分、検査陽性者数の先行指標になる。
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これだけで新規感染者数は下げ止まると言い切れるほど強力な指標ではないが、この冬もインフルエンザの流行が起きていない以上、まだまだ新型コロナ感染者は多い可能性が示唆される。

⑤ 一部地方都市で高止まりが続いている
調べてみたところ、全国の約3分の1の県では人口100万人当り1週間の新規感染者数が 2-3000人ラインでほぼ横ばいで推移していることがわかった(飛びぬけて多い2都府は赤線が大阪で黄緑が東京)。
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これがオミクロンに対するまん延防止措置の限界だとすると、都市部では今後も新規感染者数が減りはするものの、このラインを割り込むのは難しいかもしれない(東京の人口で計算すると1日の新規感染者数で約5000人と現在の約3分の1の水準になる)。
大都市では「飲食店などで発生する感染による押し上げ部分」が自粛によって減り、現在のピークアウトに至ったが、学校関連クラスターは行動自粛で抑えるのが難しく、一定のレベルで下げ止まってしまう可能性を指摘しておきたい。

⑥ BA.2株が勢力を増す可能性
日本でもすでに市中感染が確認されており、今後勢力を強める可能性がある。

もちろん僕の予想が当たると確信しているわけではない。
しかし一部インフルエンサーたちが主張する「第6波は急速に収束する」その根拠と比べると、説得力では勝っているつもりなのだがいかがだろうか?
僕の予想は以前から繰り返しているように、
「本格的な収束は換気が容易になる春先になってから」
ピークアウトを理由に警戒が緩み、感染拡大がぶり返すことを危惧している。

今まで日本では、
「感染の波は放っておいても収束する」
「グラフは左右対称の形となる(収束速度は拡大速度と一致する)」
といった根拠のはっきりしない楽観論がたびたび聞かれてきた。
今回の第6波でそれが間違いであると図らずも証明されることになるかもしれない。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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