今日はよくある議論。「世界株ポートフォリオは持ち続けるべきなのか、それともタイミングをみて売買したほうがいいのか?」というポイントについて自説を述べる。
基本的にタイミング売買はあまり推奨されていいない。分散投資のバイブル、「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著 日本経済新聞出版社)のみならず、ほとんどのまっとうな経済学者は書物の中で異口同音に、「株式は保有し続けるべきであり、タイミングをみて売買したり、保有量を変えたりするのは、(そうしたくなる気持はわかるが)まずうまくいかない」と述べている。
例えばチャールズ・エリスは著書「敗者のゲーム」(日本経済新聞社)の中で、「18年間の検証機関のうち、ベストの上昇日10日間(検証期間全体のわずか0.25パーセントにも満たない)を逃すだけで、リターンの平均水準は17パーセントも低下する」と記している。
その10日間がいつ訪れるのかを事前に知る方法はない以上、利口に売買したつもりが、そのおいしい10日間をまるまる逃してしまう可能性もあるわけだ。
実際に長年にわたり相場を見て、研究してきた多くの学者たちがタイミング売買の効果を否定するのだから、そこにかなりの信憑性があることは認めざるをえない。しかし僕はそれでも、タイミング売買でより高いパフォーマンスをあげることは十分可能なのではないかと考えている。
そして実際、僕は自らのリタイア資金タイミング売買によって、比較的短い期間でつくることができたのだ。
僕が「ウォール街のランダム・ウォーカー」に出会い、なるほど、長期分散投資というやり方がいいのかと膝を打ったのは2007年。ちょうど小泉・竹中両氏による改革路線により日本株は上昇し、同時に円安が進行していた頃にあたる。
その時にはある程度の貯蓄があったので、せっかく色々勉強したのだから、さっそく株取引を始めてみたいという気持ちもあったが、その時点で相場が若干過熱気味にみえたことと、中国の株価や、アメリカでの不動産価格の高騰はバブルではないか? という報道も聞かれるようになっていたことから、しばらくは動かずに様子をみることにした。
結果としてその後為替がトレンドを転換し、円高が進行するのと同時に、サブプライム問題の深刻化によって世界株式市場は低迷することになる。
それから1年たった2008年9月、僕はバブル的な経済状況はほぼ解消されたと判断して実際の投資を開始した。
この時その時点でもっていたキャッシュをすべて投資するか、少しずつ積み立てていくかで迷ったが、株価がどう動くかは予測できないとしても、当時アメリカは政策金利を下げている段階だったため、円高のトレンドはまだしばらくは続くだろうと考え、一度に資金を動かすのではなく慎重に少しずつ買い足していくことにした。
するとその直後にリーマンショックが起き、株価は暴落。世界中が震撼することになるが、僕の損失は株式の買い付けを開始した直後だったため、軽微なものですんだ。
結果として、少しずつ買い足すという僕の判断は正しかったことになる。
冷や汗もののビギナーズラックだった。
もしその時、持っているキャッシュをすべて株にしていたら、リーマンショックにより大きな損失を被っていたことだろう。それでも、その後に得られる収入で株式の購入を続ければ底は拾えただろうから現時点ではプラスになっている計算になるが、大きな損失をかかえた状態でさらに株を買い進めるということが、ビギナーであった僕に精神的に可能だったかどうかは大いに疑問だし、たとえできたとしても今ほどの利益は得られていないことになる。
僕が資産運用を始めてから比較的早い時期にリタイアすることができたのは、自分の相場観にもとづいたタイミング売買をし、結果として、それが功を奏したからなのだ。
タイミング売買の是非については、明日、もう少し書きたい。
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