この引用文の最後の部分は、以前にも書いた通り、自著「4週間で幸せになる方法」の中の、“今まで慣れ親しんできた、「頭の中での妄想をほぼ現実として認知し、それに寄り添う」ような思考・行動パターンは、そう簡単に塗り替えられるものではない。p64”という部分と図らずも一致する。p128
“重要なポイントが2つある。1.これは「自我」が「選択する」ことで生じる心理状態ではない。心理状態は感覚が引き金になって導かれる。「自我」はたてまえとして感覚にアクセスできることになってはいるものの、その感覚に気づかないこともあるし、いつのまにか新しい心理状態になってはじめて気づくこともある(自我がCEOだという考えはあっさりとくつがえされた形だ)。2.心のさまざまな部分がいかに移ろいやすく、いかに無常かをブッダが強調した理由、そしてこの移ろいやすさが無我の議論と密接に関係していると考えた理由は明らかだ。自己が不変の本性のようなものだと想定してしまうと、心理状態がつぎからつぎへとたえず移り変わっていくただなかで、その自己がいったいどこにあるのか想像するのは至難のわざになる。
むしろ、もし変遷のただなかでずっと変わらないと見なされるもの、時を経てもしっかり持ちこたえ本質的に不変なものがあるとすれば、錯覚こそがそれだ。”
瞑想を深め、自己が存在しないことを確認することによって、はじめて「自分」が見えてくるということになる。p131
“仏教思想と現代の心理学はつぎの点に意見が収束している。人生には采配をとる単一の自我やCEO自己は存在しない。一連の自己たちが順番に采配をとり、ある意味でコントロールをにぎっている。自己たちがコントロールをにぎるのに感覚を利用しているなら、状況を変える一つの方法は、日々の生活で感覚が演じている役割を変えることだ。マインドフルネス瞑想ほどそれにふさわしい方法を私はほかに知らない。”
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内山 直
作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。