人類の知能は産業革命をピークに低下し続けるって説、知ってましたか? 「知能低下の人類史」を読んで 1


エドワード・ダットン、マイケル・A・ウドリー・オブ・メニー著「知能低下の人類史: 忍び寄る現代文明クライシス(春秋社)」を紹介する。
産業革命以降、人類の遺伝的な劣化によって知能が著しく低下してきており、近い未来に現在の文明は急速に崩壊するだろうとの主張。
内容は過激で、ところどころ不快ですらあるのだが、ある程度納得せざるをえないだけの科学的データが盛り込まれている。


まず本書では、人類の誕生から産業革命までは、ダーウィン的な自然選択により知能が上昇し続けてきたと説明されている。
狩猟採集民時代には、

p48
将来は族長や村長になるような、もっとも強く活気のある男は、部族内のもっとも弱く、貧しく地位の低いメンバーに比べて、より多くの子孫を残してきただろう。世界のほとんどすべての部族において、族長は複数の妻を得ることに成功してきた。

p49
進化心理学者デヴィッド・バスは、「部族社会では、必ず村長やリーダーは集団内でもっとも知性のある一人である」とまとめている。

知性のある男が多くの子孫を残すため、人類の知能は上がってきたとの主張だ。
この傾向は狩猟採集民時代の後、初期国民国家でも続く。

p53
社会が複雑になるにつれて社会的な差は大きくなるが、それによって知能や健康に対する選択の形も変化する。上層階級は栄養のある食べ物を得ることができるが、下層階級は栄養価が低い物しか得られず、ほとんど飢餓の状態で不健康な環境に生きなければならない。
(中略)
こうした栄養状態の著しい違いは思考力に大きな影響を与えただけでなく、乳幼児の死亡率や平均寿命にも違いをもたらしただろう。これは豊かさ、そして知能に対する社会的選択が存在したということだが、それは上層階級の男はより多くの女を獲得するという性選択に加えて起こっていた。こうして、初期国家では社会階層が発達し、生活水準に大きな差が生まれたため、狩猟採集民や遊牧民よりも知能への淘汰圧は高かったと考えられる。

そして中世ではさらに……

p61
知能の低さに対しては、中世以来、もっと直接的な淘汰圧が存在した。処刑である。
(中略)
一般的に、知能と犯罪率には負の相関があり、重罪に対する処罰が死刑である場合には、こうした相関はさらに強いだろうと考えられる。死刑の執行は、各世代のもっとも知能の低い若い男を間引くことによって、ヨーロッパ人の知能を上昇させてきたに違いない。

まとめるとこうなる。

p8
1400年代から19世紀の中盤まで、すべての世代において、より豊かな50%は、貧しい50%よりも多くの子供を育ててきた。経済的な地位と知能には正の相関があるため、世代ごとに人類の知能は上昇したことになる。これによって、例外的な超天才たちが増え続け、彼らが実現した技術革新によって、人類は環境を完全にコントロールすることになった。これが産業革命である。

読んでいて気分が悪くなった人も多いのではなかろうか? そう書いている僕自身も否定したい気持ちが随所で込み上げてくる。
しかしこの本、なかなか説得力があるのである。
明日はこの後、産業革命以来人類の知能がどのような変遷をたどったかについて記す。
さらに気分が悪くなるかもしれないが、そこはご容赦いただきたい。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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