世の中が平和で平等になると、淘汰されるべき遺伝子が残ってしまうという不都合な真実。「知能低下の人類史」を読んで 2


エドワード・ダットン、マイケル・A・ウドリー・オブ・メニー著「知能低下の人類史: 忍び寄る現代文明クライシス(春秋社)の紹介。


1回目の昨日は人類がいかにして知能を上げてきたかについて書いた。
https://fire-earlyretire.com/blog-entry-793.html
2回目の今日は、産業革命以降、人類の遺伝的な劣化によって知能が低下していく機序について、概略を第1章から抜粋。

p9
医学は急速に進歩し、かつて3人に1人が成人することができなかった状況は、いまではほとんど全員が成人するようになった。近代以前、幼くして死んでいった子どもたちは、社会的な地位が低く、おおよそ知能の低い親の子どもたちが多かった。前述したように、知能は強く遺伝するからである。知能が低ければ貧しい傾向にあり、生活環境は悪く、栄養状態も悪いからだ。
(中略)
19世紀の後半には、大家族というのは無計画を意味するようになっていた。将来のことをあまり考えられない人々が、その後の結果を想像せずに衝動的にセックスをすることで発生するのである。後に説明するように、こうした衝動的な行動は、低い知能と関係している。それは避妊をしないことである。つまり低い知能の方が、高い知能よりも多く子供をもつようになった。女性が労働市場に加わるようになると、もっとも知的な女性は20代、さらには30代の前半までもキャリア形成に捧げるようになった。もし子供を持ったとしても、ごく少ない人数でしかない。これとは対照的に、知能の低い女性はキャリアに興味がなく、衝動的なので、10代の頃から多くの子供を生む。

この内容が詳述されている第7章から、知見を箇条書きに抜き出してみる。

p107~
・乳幼児死亡率の低下によって以前なら生き残れない遺伝的な素質をもつ個体が生存し、集団内で多くの割合を占めるようになる。
・教育を受ければ受けるほど、子供を産まないままに人生を終える確率が上がる。
・知能が高い人のほうが適切な避妊をする確率が高い
・知能が低い人々のほうが子供を欲しがる(知能は人格理論の知性と相関しているため、知能が高い人ほど子供を持つことへの興味が低く、知的に刺激的な生活を送るようになるとのこと)。
・福祉の拡充により知能が低い人にとって、低賃金の仕事をするより多くの子供を育てる方が経済的に有利なケースが増えた。
・フェミニズムの高揚により、知能の高い女性が母親になる時期が遅くなった(知能の低い女性が出産を遅らせることはない)。
・ヨーロッパでは平均知能の低い南アジア、中東、アフリカからの移民が多く、彼らのほうがヨーロッパ人より多産である。

もしこれらの意見を思いつきで述べているのなら、差別主義者のレッテルを貼られるのは確実だが、著者らはそれらについて一々統計データを示しており、説得力は高い。
それにもし十分なデータがなかったとしても、たとえば、
「男女平等が進むにつれ、知能の高い女性の出産年齢が遅れ、出産率も低下する」
との見解に異を唱える人はいないだろう。

しかし、と僕はそれでも疑念を覚える。それらの理由で本当に人類の知識が低下している証拠はあるのだろうか?
どうやら山とあるらしい。
その内容は、明日。



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あじさいの花を模したシュガークラフト。

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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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