著者が指導をうけた導師たちの言葉を紹介する ― 頭を「からっぽ」にするレッスンより


昨日に引き続き、ビル・ゲイツ推薦の瞑想本、『頭を「からっぽ」にするレッスン(辰巳出版)』を紹介する。


僕が考えるこの瞑想法の肝は、
「瞑想はごく短時間でよい。むしろその短時間で得た感覚を日常生活にいかに生かすかが重要」
という発想。
しかしそれ以上踏み込んで、具体的なやり方を紹介することは本ブログではおこなわない。
というのも僕の要約による半端な理解で瞑想をはじめると、失敗に終わったり、あるいは大きな回り道になる可能性が高いからだ。
実際に紹介されている瞑想法を学びたい人には、やはり本書を手に取ってもらう必要がある。
というわけで本ブログでの紹介はあくまでも「雰囲気を伝えるもの」であり、エッセンスが簡単に得られるものではないとご理解いただきたい。
僕の抜粋を読んでこの本に惹かれるようなら、ぜひ手に取ってみてほしい。本当にお薦めだ。

さて、著者のアンディ・ブディコム氏はイギリス人。大学在学中に僧を志しアジアに旅立ち、世界各地の寺院や僧院で修行を積んだ経験をもつ。
本書では悩めるブディコム氏に対し、導師が助言を与える場面が何回も登場する。
今日はこれらから僕が気に入ったものを紹介する。

まずはまだ瞑想初心者で、頭の中を駆け巡る思考を止められずに悩んでいた頃のブディコム氏に対する助言。

導師は続けて、こんな提案をしました。「こうしてみてはどうか。車のあいだを走り回って何もかもコントロールするかわりに、今いる場所にしばらくじっとしているのだ。するとどうなるか。道端に座り、行きかう車をただ見ていたらどうなるか。ラッシュアワーで道路が渋滞していようと、真夜中で車通りが少なかろうと、どちらでも変わりはない。ポイントは、道端に腰を落ち着け、車の往来を見ているのに慣れることだ」ただ思念が通りすぎるのを見ているというイメージはとてもわかりやすく、私は早くもう一度瞑想をしたくてたまらなくなりました。

僕もそうなった(笑)。

次は混乱した心で暮らすのがあたりまえになっていて、瞑想を繰り返しても同じ間違いをおかしてしまうのはなぜかという疑問に対する導師からの答え。

瞑想をはじめた時というのは、ある朝目覚めたら、身のまわりのできごとによく気づくようになっていたようなものだ。道を歩いていて、目の前に大きな穴があいているのが見える」と導師は言いました。「でもそこが問題なんです」と私は答えました。「たくさん瞑想をして、ときどき穴が見えることもあります。それでも、毎回穴に落ちるのを自分でも止められないのです」すると導師は言いました。「そうだろう。最初は穴が見えても、道のそこを歩く癖がしみついているせいで、まっすぐ穴に落ちるのを避けられない。それは狂気の沙汰だとわかっているし、痛い思いをするのもわかっているのに、どうしても避けられないのだ」同志はとうとう声を上げて笑いだしました。私の苦悩にもかかわらず、想像するとすこぶるおかしいことは私も認めざるをえません。導師は続けました。「これが君の心の状態だ。落とし穴が見えるのに、しみついた癖で落ちるのを避けられない。だが」と、そこで導師は芝居気たっぷりに言葉を切りました。「瞑想を続けるうちに、もっと早くから穴が見えて、避けるための行動がとれるようになる。最初は穴の縁ぎりぎりを通ろうとして、結局落ちてしまうかもしれない。これもプロセスの一部だ。だが、練習によって、いずれ穴がはっきり見えるようになり、簡単に穴をよけて先に進めるようになる。そしてとてもすがすがしい気分で職場に到着できるのだ」導師はまたくすくす笑いました。「そしてある日、深い理解をみにつけ、はっきり目を覚ました時、そこには最初から穴などなかったことに気づく。だがその話はまた別の機会に」

これは「怒りの感情」を当てはめるとわかりやすいと思う。
たとえば誰かの発言や態度に腹をたてたとする。マインドフルに、つまりその瞬間にしっかり向き合って生きていない限り、頭のなかで怒りが暴走し、気がついたときには自分でも制御不能なほどに燃え盛っていたりする。
日々瞑想をしていると、怒りが生まれていることに意識的になるまでの時間が短くなる。しかしそれでも怒りの時間や程度が軽くなるだけで、一定時間イライラとした心境になるのは避けられない。
瞑想を続ければやがて怒りを最小化できるようになり、最終的には怒りを感じる理由すらなくなる、ということらしい。
僕自身、元来は気が短い性格で、怒りの感情をもてあますことも多かったが、瞑想により(あるいは加齢により?)、以前よりはずいぶん軽くなっていると思う。
怒りが浮かんでもわりとすぐに、
「ああ、また怒っちゃってるよ。これって明日になれば、つまらないことで腹を立てて貴重な時間を無駄にしちゃったなって反省するパターンだよな」
と気づくので、怒りの延焼を早い段階で防ぐことができる……こともある。
これを今後、よりすばやく怒りに気づき、怒りの感情の振り回されることが減り、さらには怒りが生じる余地すら生じない境地になれば、ほぼ究極のマインドフルネスとうことになるようだ。
その域にたどり着ける日が本当に来るのかはわからないが、完全な成功を目指す必要はない。不完全であっても、ゴールに近づけばその分、僕自身はもちろん、僕の周囲の人にとっても恩恵が大きくなるのだから。
たった10分の瞑想を怠る理由は、今の僕にはまったく見当たらないし、今度こそ長期間にわたりうまく瞑想につきあえそうな気がしている。

明日もこの本からの紹介を続ける。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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