新型コロナ感染拡大の主要因は「会食」と「換気不足」。それがわかれば拡大防止策も軽くできるはず!


6月に入り新型コロナの新規感染者数が全国的に減少してきた。
新型コロナの季節性については、一昨年から何度も指摘してきた。
しかし多くの専門家が唱える
「温度・湿度が高い地域では、低い地域よりも新型コロナは伝播しにくい」
という説と僕の考えは、同じ「季節性」であってもまったく違う。それなら温度、湿度ともに高い日本の夏で去年、あれだけの第5波が起きたことの説明がつかない。
僕が考える「季節性による変動」は「換気がしにくい、あるいは屋内に人が集まりやすい季節は感染が拡大しやすい」というもの。
考えてほしい。ほとんどの感染が屋内で生じているこのウイルスにとって、屋外の温度や湿度が重要である可能性があるだろうか?
換気しやすい温度・湿度であるか否かのほうが、はるかに大きな影響を及ぼすように思える。

国内で北海道と沖縄を比べるとどうだろう。

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まずは一昨年年末からの第3波。北海道(青線)の感染者は少ないが、9月下旬~11月の立ち上がりに注目してほしい。全国(薄青線)に先駆けて感染者が急増し、僕はこのときにやはり換気の影響が大きいと半ば確信した。
この後、北海道は独自に外出自粛要請を発出し、かなり長期間継続したため、結果として感染流行を他の都府県より少ないレベルで押しとどめることができた。波が小さく済んだのは、適切な時期に人流抑制策が行われたからにすぎない。
逆に冬に換気がしやすい沖縄(緑線)は、一昨年夏の第2波と同程度の感染者数ですんでいる。
次に去年の夏。
沖縄では東京以上の感染爆発が起きたのに対し、比較的涼しい北海道では一部のオリンピック競技が開催され、沿道に多くの人が集まったにも関わらず、大きな感染の波はこなかった。
そして今年初めからの第6波。オミクロン株の流入が米軍基地からだったため、不意をつかれた沖縄は急激に感染者数が増加したが、その後、他の県が中々感染者数を減らせない中、ほぼ唯一、順調に感染者数を減らしていった。
2月に入ると北海道より少なくなるが、3月には再度北海道を抜き、その後、全国、北海道ともに少しずつ新規感染者数を減らす中、すでに夏の暑さの沖縄は苦戦している。
「換気の容易さ」以外のファクターが浮かぶだろうか?
北海道では冬に多く、沖縄では夏に多い。つまり温度や湿度ではなく、気候条件が厳しく換気が難しい季節に新型コロナは流行しているといえる。

換気の有無と並んで大きな要素になるのが会食だ。
新型コロナウイルスは屋内での感染が多く、もちろんマスクを外していれば感染しやすい。となれば浮かぶのは会食だろう。とくに「普段会わない人々」と「大人数」である場合リスクは高まる。
日本では3、4月の歓送迎会や卒業旅行、12月、1月の忘新年会でこの動きが顕著となる。
以上のふたつのポイントをまとめると、日本で感染の波が生じやすいのは、
「会合が多い春」、
「換気がしづらい梅雨~夏」、であり、
最悪なのが、「会合が多く、さらに換気がしづらい年末年始~冬」
ということになる。
実際に日本での感染動向をみると、それぞれの波で急速な感染拡大が始まったのは、第2波で6月下旬、第3波で11月上旬、第4波で3月下旬、第5波で7月上旬、第6波で12月初旬となっている。
また、第7波とまではならなかったものの、今年も3月末から4月にかけて全国的に感染者数は増加。
上述した理屈が現状と完全に一致していることがわかる。

次にアメリカでの推移も併せてみる。

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やはり換気しづらい夏と冬に波が来ていることがわかる。この春のアメリカでの増加は諸規制の緩和によるものだろう。

ロックダウンなどの強い抑制策をとらないため、季節性が読み取りやすいのが北欧のスウェーデン。
長く厳しい冬に感染者が多いが、エアコンなしでも過ごしやすい夏には大きな感染拡大がみられていない。

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新型コロナは、「換気をしていない場所で(=換気がしにくい季節に)」、「家族以外の人と会食といった高リスク行動をとると(=そのような行動が増えやすい季節になると)」、セオリー通りに感染が増えると考えてよさそうだ。
感染の波の生じるタイミングがそこまで単純なら、対策もまた単純でいいはずだ。
夏と冬に注意する。特に12月末~1月は換気ができない季節と会食シーズンが重なり、その後も換気が難しい季節が続くため、この時期に感染拡大の兆候があったら程度に応じてすみやかに対応する。
しかし換気がしやすくイベントが少ない秋は感染の波が来にくいから問題ないし、春の波は年度替わりによる歓送迎会によるもので換気は十分できるから、たいした対策をとらなくとも一過性で収束する可能性が高い。
規制の強さや具体的な期間は、ワクチンや治療薬が改善、洗練され、新型コロナの脅威が弱まるのに合わせて徐々に軽く、短くしていけばいい。

いかがだろうか?
これでバラ色の未来が待っている! と言う気はない。しかし今までの「いつ行動自粛要請が始まるのか、そしてそれがどのくらい続くのかわからない」やり方よりも、はるかに希望がもてるのではないだろうか?
そしてこの単純な事実がいつまでたっても知られないことが残念でならない。
2020年の秋からずっと言い続けているんですけどね、うむむ。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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