僕はかねがね、美しい女性は精神を病んでいる可能性が高いと感じているのだが、はたして本当なのだろうか?


これから書くことはヒンシュクを買いそうな気がして、少し怖いのだが・・・。
「若くてきれいな女性は精神を病んでいる可能性が高い」
と僕は思っている。

医師として診察にあたる際、必ず患者さんの内服薬をチェックする。患者さんの全身状態を把握するためもあるし、それをしておかないと飲み合わせの悪い薬を出してしまう危険性があるからだ。
僕は医師になってすぐ、多くの若くてきれいな女性が心療内科に通院し、投薬治療をうけているのに気づいた。その確率は十人並みの容姿の人より高いように思えた。
最初は思い込みだと考えた。
「へええ、こんなきれいな人でも、心療内科に通うくらい辛い気持ちになるんだ」
と意外に感じるから、頻度が高いような気がするだけだろうと。
しかしその点をしっかり踏まえてみても、やはり最初に感じた傾向は変わらない。
僕がちょっと精神を病んでいる女性を美しく感じる傾向があるのかもしれないと考え、後輩のU先生に聞いてみたところ、
「実は僕も同じことを思ってました」
と驚いた様子で返事がかえってきた。
美容分野の医療も行っており審美眼に優れているだけではなく、イケメンで、常に女性からはモテモテの彼が同意するくらいだから、やはり間違いないのだろうと思った(イケメンやモテモテは関係ないか?)。

なぜそんなことが起こるのだろうか?
いろいろ調べた結果、その理由を説明してくれるかもしれない、あるデータにたどり着いた。
心理学者・バリー・シュワルツによるものだ。彼は、
「現代の先進国においては、選択肢の多さが逆に人々の幸福度を下げている」
と述べ、その理由を次のように説明している。

1.あまりにも多くの選択肢を前にすると、間違った選択をしたくないというプレッシャーから、人はストレスや無力感を感じる。
2.自分が選んだものに少しでも不満が生じると、選ばなかった他の選択肢への未練により満足度が低くなってしまう。
3.選択肢が多いと商品に対する期待値が上がってしまうので、たとえベストな選択をしたとしても満足度は低くなってしまう。
4.自分が取った選択に満足できなかった場合、選択肢が少なければ店や社会のせいにできるが、選択肢が多ければ自分を責めざるをえない。

実際に、お店で商品の種類を増やし過ぎると、売れ行きが悪くなってしまうという実験データもある。
何を買うのかを決めるためにより多くの労力が必要だ。そのストレスを避けるため、一部の客は購入自体を見送ってしまうのだそうだ。
シュワルツ氏は、
「全く選択肢がないよりはあったほうがいいが、多ければ多いほどいいということではない。どれくらいが適切なのかはわからないが、現代の先進諸国において、選択肢の多さが私たちに快適さをもたらすという段階は、とっくに通り越してしまった」
と結論づけている。

一般に美人は得とされている。それは同時に、より多くの選択肢を与えられていることをも意味する。
選択肢が只でさえ多過ぎる現代社会においてさらなる選択肢を押しつけられることは、一部の人にとっては精神的苦痛にこそなれ、幸せにはつながらないのかもしれない。
となると、
「美人は精神を病む率が高い」
という自説にも信ぴょう性が出てくる。

ちなみに医師の職を辞しアーリーリタイアをしてから、僕の生活態度はそれまでよりもかなり質素になった。
ある程度の資産は築いたとはいえ、それまではあった医師としての収入がほぼ途絶えたのだから、やはり出費には慎重になる。
バーで高い酒を頼むことはなくなったし(どうせ僕に高級ウイスキーの味はわからない)、服を買う時、レストランを選ぶ時など、生活のあらゆるところで僕の選択肢は以前よりも減った。
例えば新しい趣味を始めるにしても、お金がかかりそうなものはそれだけで候補から外している。
しかしそれによって感じる不自由さよりも、些末なことに煩わされずにすむ解放感のほうがはるかに大きいというのが、現時点での偽らざる感想だ。

実は使える額に制限があって、ある程度我慢をせざるをえない状況にいたほうが幸福度は増すということは、幸福学の研究でも明らかになってきている。
これに関しては自著の中で詳述しているので、興味のあるかたは、是非、“幸せの確率 あなたにもできる! アーリーリタイアのすすめ”を参照してほしい。

などと調子にのって自著を紹介し、あなたの人生の選択肢をさらに増やしてしまったのだとしたら、深くお詫び申し上げる・・・。







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ソーセージ、食パンを交互に刺してチーズでコーティング。悪魔のカロリー(汗)

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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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