ドミニック・ローホー著「シンプルだから、贅沢(講談社)」の4回目。
著者は物を減らすミニマリストとはちょっと違う、いわばシンプルライフの提唱者で、フランスと日本を往復しながら暮らしているフランス人女性だ。
前回と同様、今日はこの本の、ちょっと「お茶目」なところを紹介したい。
思い立ったらすぐに旅立つと心が前向きになれる、という記事の冒頭。
p189
“思い立ったらすぐに、翌日にでも荷物をまとめて10日間程度、どこかに旅立つことは誰にでもできることです。”
ここは失笑してしまった。
思い立ったらすぐに10日の旅に出られる人など、僕の周りにはひとりもいない。僕だって相当暇なほうだとは思っているが、週に半日は医師として診察をしているし、妻子の予定との兼ね合いもある。
世の中の大半の人、社会人、学生、子供のいる主婦などには、到底できないだろう。
こんなことを同胞である日本人が書いたら大バッシングだろうが、著者がフランス人だとなんとなく許してしまうのだとしたら、僕らちょっと甘くないかい? と思えてくる。
本当のお金持ちはエコノミークラスで旅行する、というタイトルの冒頭部。
p194
“新聞で読んだ話ですが、本当のお金持ちは、移動手段としてはエコノミークラスで旅行することを好み、ときどき友人たちに最高級のワインを振る舞うとありました。
確かに12時間ほどの旅行で、エコノミークラスだろうとファーストクラスだろうと、お金持ちは大して気にはしないでしょう。“
そんなこと、ないって!!(笑)。
確かにビル・ゲイツや、ダイエーの創業者である、故・中内功が、エコノミークラスを使う(使った)という話は聞いたことがあるが、それが話のタネになるということは、珍しいことだからに他ならない。
イーロン・マスクや前沢友作がエコノミークラスに乗っていたら、それはびっくりだ。プライベートジェットで移動と考えるのが普通だろう。
それに新聞で読んだ話って・・・。
そんなことが新聞記事になるのだろうか? という疑念と、普通そんなところから引用するか? というW疑惑。
まさか、フランス版東スポみたいな新聞だったりして。
ただし・・・
僕の周りに限って言うと、確かにそんな気もしなくもない。資産が10億円以上の友人・知人は何人かいるが、みんな気前がいいわりに、自分の贅沢には禁欲的だ。
ファーストクラスどころか、新幹線のグリーン車にも乗らない人もいる。
かなりの成功を収めて、逆にそういったことにステータスを求めなくなると、ちょっとした快適さ自体はどうでもよくなるのかもしれない(あくまでも想像に過ぎないが)。
そんなわけでこの本、突っ込みどころも満載だが、決して悪くない。意見が合わないところも、これがフランス風のエスプリだと思えば、興味深く良く読める。
最初の2回で引用したように、いい記事も多い。
5つ星とは言わないが、4つくらいは上程してもよさそうだ。ちょっとした気分転換におすすめ。
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