せっかくアーリーリタイアしたんだから、茶髪にグラサンで、チャラーく日常を過ごしてみようか!?


自由さの象徴として、アーリーリタイア後に試したかったファッションが3つある。
茶髪、コンタクトレンズ、そして3つめは、「日常的にサングラスで過ごす」というものだ。

僕は高校時代バンドをやっていたので、ロン毛だったことがある。しかも後ろ髪だけを伸ばし、他はパンクっぽくツンツンに立てるという、今思えば相当「痛い」ヘアスタイルであった。
中年になった今、その自分史が恥ずかしいかと聞かれれば、実はそうでもない。むしろ少しでも目立とうと健気に頑張る様子は、未熟とはいえ、若者らしくてほほえましいとさえ思うし、当時の活動や仲間の顔が浮かんできて、なんとも懐かしい気持ちになる。
そもそも若者なんて馬鹿と相場が決まっているんだから、スマートぶるほうがよほど格好悪い(個人的見解)。
その後、僕は医学部に入り医者になるという、とても「お堅い」コースを歩むことになったので、以来、ハッチャケた格好をする機会がなくなってしまった。
そこで6年前、アーリーリタイアを機に一丁やってやるぞという気分になった。

まずは茶髪。美容院で「明るめに」と注文し、染めてもらった。
出来上がりを見て、おおっ、40歳代でこの色は、アホ丸出しで実にいいではないか、と悦に入っていたところ、すぐに友人に会う機会があった。
「内山くん、染めたんだね」
「そうなんだよ」
実際に人と会うと、さすがに少し照れる。
それを押し隠そうと、わざと普通の口調で答えると、友人は、「テレビで見る誰かに似てるなあ」と首を傾げる。
誰? 芸能人?
どきどきしながら返事を待つこと30秒、友人は、「そうだ!」と手を打って、それはうれしそうに言ったのだった。
「高須クリニックの、高須先生だ!」

高須先生?
に、僕が似てる?
びっくりして家に帰った後、鏡でチェックしてみたが、僕が高須先生似とはとても思えない。
そこで妻に聞いてみると、妻は大笑い。
「確かに! もちろんよく見ると全然違うんだけど、年のわりに無理目な染め方をしているから、なんだか感じが似ちゃっているのよ」
年のわりにって、僕の(当時)48歳が若いとは言わないけど、高須先生は70歳過ぎのはず。
「年のわりに」で一括りにしないでよ!
高須先生有名かつ優秀なドクターだし、ご自身も美容整形をくり返しているから、年の割には若々しいしそれなりにイケメンだとは思うが、似ていると言われてうれしい相手ではない。
むしろ、へこむ。
これで一気に嫌になってしまい、茶髪計画は終了。
その後はほんの少し茶色が入ってはいるものの、ほとんど黒と言っていいような、普通のおじさんカラ―で染めている。

次はコンタクトレンズ。
今までコンタクトを試すことなくメガネでやってきたのは、医師時代、患者さんの血液が飛んでくる可能性があったから。
しょっちゅうというほどではないが、手術や処置の時にはたまに起こるし、それが目に直接入れば感染症をもらってしまう可能性もある。メガネで目を保護していると、安心感があった。
それに見た目の印象もある。メガネをしていると、やや年上に、そして賢そうにみえるので、患者さんに安心感をもってもらうためには有利だと考えていた。
しかし医師を辞めればそれらのメリットは消える。
メガネなしの生活をしてみたくて、さっそく眼科を受診してみた。
すると眼科医からの反応は「厳しいですねえ」というもの。
僕の場合、近視は軽いのだが、きつめの乱視があり、さらに年相応の老眼が入っている。メガネではその3つに同時に対処でくるが、コンタクトだとカバーできるのは2つまでなのだそうだ。
そこで老眼はあきらめ、近視・乱視対応のコンタクトを選んだのだが、これはかなり不便であった。
プールや海でメガネ要らずなのは快適なのだが、なにせ老眼がカバーされていないから、陸に上がった途端、レストランのメニューひとつ見るのにも苦労することになってしまう。
今までは遠近両用メガネをしていたので気にならなかったのだが、僕の老眼はいつのまにか、かなり進んでしまっていたようだ。
というわけで、コンタクトレンズも没。
不自由な思いをしてまで、メガネなしで過ごしたいわけではない。

最後に、サングラス。
診察中に医師がサングラスでは困るが、仕事さえなければ、日常的にサングラスで過ごしても問題ないはずだ。
真黒なものではなく、青いレンズのサングラスを度入りでこしらえ、春から夏はそれを中心に使おうと考え試みてみた。
ところがこれもうまくいかない。
まずマンション住民の目が気になる。
すれ違うくらいならいいのだが、狭いエレベーターで一緒になると、「この人、どうしたんだろう?」という感じに、チラチラ見られることになる。いつもなら交わす、ひと言、ふた言の世間話もうまく出てこない。
外出先でも、例えばバーなんかでは平気だが、図書館では怪しい感じになり明らかに「浮く」。
そして買い物。服を買いたい時、あるいは、肉・野菜の買い出しを妻に頼まれた時など、当たり前だが、サングラス越しにみるとずいぶん色の印象がかわってしまう。
そのたびにサングラスをずらさなければならないのであれば、不便この上ない。

というわけで、医師を辞めた後の「ハッチャケたファッション計画」はあっという間にとん挫することになった。だから今でも医師時代と変わらず、黒い髪と、色の入っていないメガネで過ごしている。
どこからどう見ても、普通の堅気のおっさんだ。仕事を辞めたとはいっても、若者のように自由にはいかないものである。
僕に年の近い芸能人で言えば、GACKTなんか茶髪にサングラス、コンタクトでがんばっているけど、大丈夫なのだろうか?
一生懸命恰好つけてるけど、本当はいろいろ不自由なんじゃないのかなあ? と心配だ。

お前と一緒にするな!! というお叱りの声も聞こえてきたところで、本日の教訓。
したいことは、したい時にやっておこう!
後でやろうとしても、もはや間に合わないことも多いようだと今さら気づき、少し残念な思いでいる。




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妻と小6の三男は今日もヨット。

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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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