三谷幸喜氏が勧める「読書感想文の書き方」を実際に試してみると……


夏休みも終盤。宿題の読書感想文で苦労している小中学生、そして親御さんも多いかと思う。
そこに着目したのであろう。去年の今頃、テレビ番組「情報7daysニュースキャスター」で日本を代表する脚本家、三谷幸喜が「読書感想文の書き方」をアドバイスしていた。
僕自身大いに楽しんだし、多くの視聴者から好評を得たようだ。
三谷氏が説く読書感想文の書き方とは以下の5つ。
① どう思ったかではなく、自分がどう変わったかを書く。
② あらすじは不要
以上のふたつが「基本」で、さらに上級編として、
③ 冒頭は台詞にする
④ 体言止めを使う
⑤ 両親への感謝で締めくくる
のが肝要とのこと。

上記5つのアドバイスは決してわかりやすい親切な内容ではない。この番組を実際にみている小中学生がいたとしたら、
「はあ?」
と疑問符しか残らなかったかもしれない。
しかし(自称)作家として言わせてもらえれば、三谷氏の指導は実にスルドイのだ。
僕なりに氏のアドバイスを解説すると、
① どう思ったか書こうとすると内容が抽象的過ぎてつかみにくいから、読前読後で自分がどう変わったかを考える。そうすると感想を自分自身で理解しやすい。
② あらすじが絶対に必要というわけではないが、多くの場合、①の説明をするためにあらすじからの引用が必要になる。その場合に必要な個所だけ書けば十分で、長々と義務のように記す意味はない。
③ 高い評価を得るためには冒頭から読者(宿題の場合は教師や審査員)を引き込むことが重要。台詞である必要はないが、インパクトをもたせる意識をもつことは大切。
④ 体言止めを使う必要はないが、「読ませる」ためにテンポのいい文体を心掛けるべき。
⑤ 当たり障りのない結論がとりあえず無難。もちろん非常識な結論でもいいのだが、それで締め括るにはかなり高度な思想や技術が必要。よほど得意意識がない限り、無難に締め括るのが吉。
というところだろうか。

せっかくなので息子たちに録画した放送をみせたのだが、どうもピンと来ない様子。そこで僕が実際に「三谷氏の指示通り」に「桃太郎の読書感想文」を書いてみせることにした。
下記感想文は原稿用紙3枚程度の分量で、要した時間は30分程度。
子供の読書感想文が進まず、頭を悩ませている親御さんにはぜひ一読してみてほしい。

生き抜くということ

「精一杯、人生を生き抜いてやるぞ」
僕は童話「桃太郎」の最終ページをそっと閉じると、何度目かの誓いを心に刻んだ。
幼少時、初めてこの話を聞いた時から獏たる疑問が心に存在し続けていた。なぜ桃太郎は自らの命を危険に晒してまで鬼退治に出かけたのだろう、と。僕にはとてもそんな勇気はないな、とも。
しかしある時、それまでは持っていなかった視点に行き当たった。重要であるはずなのに、物語では決して描かれないひとつの視点。それは、
「桃太郎本人は、自分の出生をどう捉えていたのだろう?」
というものだ。
知ってのとおり、桃太郎のルーツは謎に包まれている。物語中で明かされているのは、桃太郎が桃に入った状態で、川の上流からドンブラコと流れてきたのを、たまたま洗濯をしていたおばあさんがみつけ、拾ったこと。そして、おばあさんが桃を「中の本体を傷つけることなく」真っ二つにしたという奇跡。
村人は親切で、しかしそこには恐ろしい鬼が跋扈していた、と読者に呈示されているのはそこまでだ。
でも少し想像力を働かせてみてほしい。桃太郎は拾われることなくそのまま桃の中で息絶えたかもしれない。あるいは獣によって拾われ、エサになったかもしれない。いや、むしろそのような悲劇的な可能性のほうがはるかに高かったのだ。
深く思い悩む桃太郎。
「僕の遺伝的ルーツはどこにあるのだろう?」
「なぜ運命は僕をこの村に遣わせたのだろう?」
桃太郎は確固たるアイディンティティを築くことができぬまま、例えるならパズルの肝心なピースを得られないような心理状態で齢を重ねていく。無謀ともいえる鬼退治に出向いたのは、このような葛藤の末、何かを打破したい、そしてせめて自分を育ててくれた老夫婦や村人の役に立ちたいという強い衝動に突き動かされたからではないだろうか?
「偉業には相応の理由があるのだよ」
どこかで聞きかじった、偉人の名言。
そこで僕は考えた。桃太郎は世にも奇妙な、不思議な状態で成長したからこそ、あのような偉業を達成できたのか?
平凡な環境で育った僕のような人間にはとてもかなわぬ夢なのか?
「ちょっと待てよ」
脳裏に浮かぶ新たなる疑問。
「僕の存在だって根源的な意味では桃太郎と同じなんじゃないのか?」
ひとりの人間が存在するのは奇跡だと聞いたことがある。僕が僕自身であるためには莫大な量のDNA配列が同一である必要があり、両親から生まれた可能性は実は数億分の一かそれ以下だというのだ。
僕が今生きているのは、桃太郎が生を受けたのと同様に決して「当然のこと」ではないことになる。
そして僕らが生きている社会はどの程度平和なのだろう?
確かに鬼のようにデフォルメされたキャラクターには乏しい。でも悲惨な戦争はあるし、耐えがたい貧困や隔絶は溢れているし、人類が持続可能な社会を築く可能性は限りなくゼロに近い。身近な例でも、先日、暑い車内で放置された幼児が死亡したニュースが報じられたばかりだ。
そう。僕らの日常に「鬼」は溢れているのだ。
僕らには戦う理由がある。戦う相手がいる。もちろん桃太郎のように華々しい活躍はできないかもしれない。
でも精一杯闘い、懸命に生きるだけなら誰にだってできるはずだ。
だって僕らには桃太郎が感謝してやまなかった老夫婦のような存在が、そう、生み育ててくれた社会や祖国、自然、そして親がいるのだから。
「僕にどれだけのことができるかわからない。でも能力が許す範囲で、精一杯、人生を生き抜いてやるぞ」
この物語を思い出すたび、僕は両親への感謝の念を再認識しながら誓う。
そして思う。桃から生まれなくたって、強く生き抜くことはできるのだ、と。


ね、それなりにまとまった……か?(笑)
しかし僕の息子たちは感心してくれたし、彼らなりのヒントを得ることができたようなので、読書感想文が苦手なお子さんをもつ親御さんにもよければ参考にしてほしいと思いアップしてみた。


ちなみに僕、内山直は元医師で、2016年に47歳でアーリーリタイア。
本を出したり、こんなブログを書いたりしながら、地方都市で妻、3人の息子たちとゆるゆると生活している。ついでに自著の宣伝をば。


アーリーリタイア(早期リタイア)そのものや自由度の高い生き方に興味を持つ人に対し、幸福学や心理学の学術データを用いて、真の幸せとは何かと問いかけると共に、ファイナンシャル理論や行動経済学の観点から、必要な蓄財・運用術をできるだけわかりやすく紹介している。
生存率・貯蓄率・満足率・リスクリターン率という4つの「率」から、生涯を通してみた「幸せの確率」がどうすれば上がるのかを考察し、アーリーリタイアにひとつの答えがあるのではないか、とのアイディアを提起している。 停滞を始めた現代の資本主義社会で生きる我々が真に幸せに生きるにはどうすべきなのかを問う、新しい生き方の指南書……のつもり。


幸せに生きるための行動術や思考法を、幸福学、医学、心理学、哲学、伝統仏教といった幅広い分野から選び出し、その中から特に重要で比較的簡単に実行できる28のアイディアを紹介した。
毎日1つ、5分程度で読める分量の記事を読み、その内容を意識しながら1日を過ごすことによって、4週間後には幸福度の高い生活スタイルが身についているという、画期的な実践書……のつもり。

つもり、ばかりで恐縮だが、機会があればぜひ手に取ってみてほしい。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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