新コロ対策での適正自粛度は? ~世界の現状から紐解く

昨日、日本での感染拡大、および収束の経緯を踏まえ、どの程度の自粛が新コロ対策として適当なのかについて考えてみた。
今日は諸外国のデータを見てみたい。

まずは、今や感染拡大の中心となった南米。
EY3sQ7DUwAAvsa4.jpg
フィナンシャルタイムズHP

ブラジルでは大統領と知事たちとの連携がとれず、ちぐはぐな対応になっているようだ。
医療従事者や貧困層がどれだけの苦境にいるかを想像すると心が痛む。
他の国々でも収束の兆しは見えない。
対策が不十分だとこうなるという、悪い手本になっている。
やはりこのウイルスに対しては、ある程度の規制や自粛が不可欠のようだ。

次に西ヨーロッパ。
少しずつ規制を緩和し経済活動を再開しているが、今のところ再燃の兆しはない。
EY3s3XqUYAMo8F4.jpg
各国の規制状況をチェックしてみよう。
緩和が一番早かったのはドイツ。
5月6日に全店舗の再開を許可した。
とはいえ、まるっきり自由というわけではない。
道端でも店の中でも人との距離を1.5メートル以上空けることを求める「接触制限」が設けられているし、公共交通機関を利用する際や買い物でのマスク着用が義務付けられている。
これら規制によるドイツ人の不自由感は相当なものらしく、反対デモが各地で起きているそうだ。
なんにせよ緩和開始後3週間たった今でも、感染拡大再燃の兆しがないのは興味深い。

イタリアでは商店や飲食店は利用者同士の社会的距離を守ることを条件に、5月18日から営業再開が認められている。
まだ10日もたっていないから、影響が出るとしたらこれからになる。
フランスはまだまだ。
外出証明なしで外出できるようになったのが5月11日で、レストラン、カフェ、バーなどは引き続き閉鎖されたままだ。

これら西欧の3国を比較して興味深いのは、規制緩和の影響がとっくに出ているはずのドイツでも感染者の減少速度がイタリア、フランスとあまり変わらないこと。
新型コロナウイルス対策としては現在のドイツ程度の自粛や規制で十分であり、「ロックダウン」や「8割削減」といった厳しいものは不要なのでは、と推察することが可能だ。
とはいえ、若干ドイツでの患者数の減少率が鈍っているようにみえなくもない。
今後のドイツでの推移、そしてそろそろ規制緩和の影響が出てくるであろうイタリアの状況を注視していきたい。

日本での感染状況は欧米とずいぶん異なり、これを一概に当てはめることはできない。
しかし日本のデータで考えても、昨日のブログで書いた通り、「志村けん氏の悲報をうけて高まった自粛ムード」で十分であり、「緊急事態宣言発出後の自粛ムード」までは不要であった可能性がある。

となれば新型コロナウイルスの感染拡大防止策は、
「相応の自粛は必要だが、ロックダウンまでは必要ない」
という推論が導き出せる。

実際に今年の秋~冬に第2波が来る可能性はかなり高い。
もちろんある程度の自粛は必要だが、過度なものは効果に乏しく、経済に対する悪影響ばかりが上乗せされていくことになりかねない。
使えるデータは全部使って、どの程度の自粛が本当に必要なのかを、できるだけ早期に割り出すことが肝要だろう。

So far so good.
でも勝負は(いつだって)これからだ。

明日以降も新型コロナウイルスに関する考察を続けたい。



IMG_5285.jpg

手作り栗ようかん。

スポンサーリンク

内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

自著の紹介

ツイッター(更新告知など)

ブログ・ランキング参加中

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

こちらは連絡用です。 コメントはツイッターでのみ受け付けています

全記事表示リンク

プライバシーポリシー

検索フォーム