好きなことをやったほうが成果も上がりやすいというシンプルな事実


前回から紹介しているのは池谷裕二著「できない脳ほど自信過剰」。


今回は、子供や部下の教育・育成に参考になりそうな部分を2か所、引用の上紹介する。

p34
“博士らは65人の若者たちにテレビゲームで立体迷路を練習してもらい、翌日にどれほど覚えているかをテストしました。ここでは1日目の学習に3つの異なる条件を用いています。
① 成功したらそれに応じた報酬金が得られる。
② はじめに報酬金が一定額与えられ、失敗するたびにそこから減額される。
③ 報酬金なし。
実験を行うと、成績が一番よいのは①の学習法でした。これは予想通りでしょう。おもしろいのは②と③の差です。成績は③のほうがよかったのです。②では、たとえ最終的に報酬金を得られても(この意味では①と同じ条件のはずですが)、かえって成績が低下することがわかりました。つまり、報酬は存在しさえすれば、いつでも「強化」として作用するわけではありません。減点法で得た「残額」という報酬は、むしろ弱化として働くわけです。“

教育現場では、「~を間違えたら何点減点」という採点法がまかり通っているが、これは生徒を伸ばす目的においては、はなはだよろしくないということになる。
次にp143から。
データも引用すると長くなるので、結論部分のみ。

“ヤル気を維持するためには、目標や夢は多いほどよいと、つい考えがちです。しかし実際には逆で、目標を多く掲げる人ほど、案外と仕事が長続きしないのです。(中略)「単に好きだからやっているだけ」という人が最終的によい成果をあげていることは確かです”。

僕の前職であった医師で例えると、「医師の仕事が好きだから」という理由で働いている人のほうが、「やりがいがあるから」、「給料がいいから」、「社会的ステータスが高いから」という理由で働いている人よりもよい成果を出すということ。
ここまではわかりやすい。
興味深いのはここからで、「好きだから」という理由だけで働いている人のほうが、好きなのに加え、他の理由もいくつもある人よりも仕事が長続きするのだそうだ。
つまり仕事を選ぶときは、「好きかどうか」が大切であり、他の理由はむしろないほうが成功するということになる。
子供や学生が将来の選択について迷っている時に、「こっちのほうが収入がいいよ」、あるいは、「人に尊敬される仕事だよ」といったアドバイスをすることは、その子が仕事で成功する確率を下げることになりかねないのだ。

より幸福に生きるために、そして子供や教え子により幸福な人生を歩んでもらうためにも、押さえておいたほうがいい知見であるように思える。
そしてそんな知見が盛りだくさんな自著がこれ、さりげなく宣伝してお終い(…さりげなくないって)






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近所の神社。

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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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