教育現場では、「~を間違えたら何点減点」という採点法がまかり通っているが、これは生徒を伸ばす目的においては、はなはだよろしくないということになる。p34
“博士らは65人の若者たちにテレビゲームで立体迷路を練習してもらい、翌日にどれほど覚えているかをテストしました。ここでは1日目の学習に3つの異なる条件を用いています。
① 成功したらそれに応じた報酬金が得られる。
② はじめに報酬金が一定額与えられ、失敗するたびにそこから減額される。
③ 報酬金なし。
実験を行うと、成績が一番よいのは①の学習法でした。これは予想通りでしょう。おもしろいのは②と③の差です。成績は③のほうがよかったのです。②では、たとえ最終的に報酬金を得られても(この意味では①と同じ条件のはずですが)、かえって成績が低下することがわかりました。つまり、報酬は存在しさえすれば、いつでも「強化」として作用するわけではありません。減点法で得た「残額」という報酬は、むしろ弱化として働くわけです。“
僕の前職であった医師で例えると、「医師の仕事が好きだから」という理由で働いている人のほうが、「やりがいがあるから」、「給料がいいから」、「社会的ステータスが高いから」という理由で働いている人よりもよい成果を出すということ。“ヤル気を維持するためには、目標や夢は多いほどよいと、つい考えがちです。しかし実際には逆で、目標を多く掲げる人ほど、案外と仕事が長続きしないのです。(中略)「単に好きだからやっているだけ」という人が最終的によい成果をあげていることは確かです”。
スポンサーリンク
内山 直
作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。