なぜワークライフバランスを整えるだけではなく、アーリーリタイアが必要だったのか? う~ん、いい質問です!(笑)


今日も雑誌取材の話の続き。
取材の中で記者から、
「アーリーリタイアという、考えようによっては極端な選択肢を取るのではなく、働く時間を減らしてワークライフバランスを整えようとは思わなかったのか?」
との質問をうけた。
いい質問だと思う。
実はそのことについては、かなり考えた。

僕は開業医だったら、開院時間を自分で決めることができる。だから、たとえば労働時間を半分にし、週5回、午前中だけ診察し、午後は休みという選択肢もあった。
そうすればアーリーリタイアする場合と比べ、フルタイムで働く期間を短くすませることができることになる。
では、なぜそうしなかったのか?

1つには、これ以上診察ペースを上げるのは無理だと思ったから。
当時、僕のクリニックはそれなりに人気があり、多い時は半日で200人もの患者さんが来院していた。
診察時間を半分にすれば、一部の患者さんは他のクリニックに行くようになるだろうから、時間当たりの患者数が2倍にまではならないだろうが、もし1.5倍ですんだとしても、単純計算で半日300人。とても無理だし、できたとしても忙しすぎて医療ミスをしでかすリスクが高まってしまう。
午前上がりであっても、疲れ切って、午後は余暇を楽しむどころではなくなるだろうと予想した。

2つ目は従業員確保の問題。
当時も今も看護師の応募は少なく、スタッフをそろえるのは中々大変だ。午前のみの勤務となると正社員ではなく、パート扱いの募集のみになってしまう。
時給をかなり高めに設定しても、円滑な診療を行うためのスタッフを確保するのは難しくなるだろうと判断した。

そして3つめ。
僕はのんびりしたいだけが理由でリタイアを目指したのではない。医学以外に勉強したい分野があったし、執筆に加え、ヨガ・瞑想といったスピリチュアルなことにも興味があった。
ワークライフバランスを整えれば、日々は快適になるだろうけど、人生の第2ステージに挑戦するための十分な時間が確保できるとは思えなかった。

そのような理由から、あと数年間はがんばって、セミリタイアではなく完全リタイアを目指すことになったというわけだ。
はなはだ個人的かつ特殊な理由だから、記事にはしにくいかもしれない。

ちなみに僕は完全リタイアこそ是という立場ではない。
例えばメルボルン大学の研究で、脳の認知機能を維持するためには、1日3時間程度の労働が望ましいというデータがある。これ以上でも、これ以下でもよくないらしい。となればセミリタイア、あるいはワークライフバランスを整えることにより、適度な労働を続けるのは、脳機能のためにもいいということになる。
人類の歴史はほとんどが狩猟採集時代であり、人類はその生活に適応する形で遺伝子が淘汰されてきたと考えられている。そして狩猟採集時代の労働時間も、やはり1日3時間程度だったのだそうだ。
我々は1日3時間程度働くのが、ちょうどいいようにできているのかもしれない。
であれば完全リタイアを目指して頑張り続けるよりも、ある程度蓄財をしたところでセミリタイアしたほうがいい、という考え方だってでてくると思う。
肝心なのは、人生を自分のコントロール下に置くということ。
そのための方策は人によって異なっていて当然で、各自が考えればいいことだと思っている。

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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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