サラリーマンの小遣いは40年前に比べてほぼ3分の2になっているようだ


池波正太郎著『男の作法(新潮文庫)』に、編集者たちとのこんな会話があった。


p135

“ここだけの話だけど、きみたちの小遣い、月にいくら?
(だいたい4、5万・・・というところです・・・)
それじゃ大変でしょう。
(もう、大変なんです・・・)“

たったこれだけの会話だが、読んでいて思わずのけぞった。この本の出版が1984年だから、会話が交わされたのはその1~2年前のはずだ。
今から40年も前の話であり、まだバブル景気に突入する前ということになる。
出版社勤務であれば、平均よりは給料もよかったとは思うが、それでも月に4、5万も小遣いがあったとは。

ネットで調べたらサラリーマンの小遣いがどのように推移してきたかは簡単にわかった。
1980年代前半に5万円を超える。それがバブル時には約8万円に跳ね上がる。しかしその後は日本経済の衰退に比例して右肩下がりに推移し、現在は4万円弱ということだ。
探した中でもっとも古いデータが約40年前の1979年で、当時の平均が4万7,000円だから、それよりもずいぶんと少ないことになる。
ちなみに物価のほうは、当時と比べ約1.3倍。物価が30%増しで小遣いが15%減だから、ここ40年でお父さんたちの懐具合はずいぶん寂しくなったということになる。
その主原因であるはずの日本経済のほうは、決して堅調とはいえないが、実質GDPでみるると2倍以上になっている。
サラリーマンの平均給与は、GDPの伸びには及ばないが、それでも1.7倍。なのに、なぜ男たちの小遣いはここまで減ってしまったのだろう?
何かが家計を圧迫していることになる。
まず浮かぶのは通信費。後は細かい贅沢の積み重ねだと思う。
旅行、外食、といったことについては、ここ数十年で日本人はかなり積極的になったと思うし、高級車に乗る人も増えた。
そのしわ寄せがおそらくお父さんたちの小遣いにいっているのだろう。

40年前と比べ、生活ははるかに便利になった。でも僕らは、真の意味で豊かになってきているのだろうか?
以前、古い友人と飲みに行った際、
「やっぱりビールはうまいなあ。家だと発泡酒だからさ」
とうれしそうに言うのを聞いて驚いた経験がある。
(大の大人がまじめに働いて、家で普通のビールが飲めない?)
やはり、なにかがおかしいのではないか?
価値観の相違と言われればそれまでだが、個人的には不気味な違和感を覚えている。




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おやつ。

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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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