金融所得の税率を30%に引き上げた場合、投資家はどの程度の痛手をこうむるのか?


ここ最近、金融所得課税の引き上げが時折話題に上る。
SNSのいわゆる「株クラ」からの意見は当然批判的なものが多く、
「投資するインセンティブを失う人が多いのでは」
「庶民が逆転するチャンスを奪わないで」
といったコメントが中心だ。
そこでちょっと計算してみる。

もし株で1000万円の税引後利益を達成するには、どの程度の税引前利益が必要になるのか。
税率が20%だと1250万円、30%だと1429万円という計算になる。つまり税率引き上げにより余計に稼がなければならないのは1429万円÷1250万円で、14%という計算になる。
小さいとは言えないが、株取引で14%余計に稼ぐのがそんなに大変かと言われると、そうでもない気がする。
株で1250万円稼ぐ能力がある人なら、それを1429万円にするのはさして難しくないのではなかろうか?

次に僕のようなFIRE組に与える影響はどうか?
毎年500万円の生活費を株式売却により得ていると仮定する。
持ち株の利益率は人によって異なるだろうが、長期投資が基本だから50%、つまり買ったときから倍になっていると仮定して計算してみる。
税率20%だと1250万円、税率30%だと1429万円を売却する必要がある。さきほどと同じ数字で、率でいうと14%。つまり金融所得の税率が20%から30%に引き上げられることにより、毎年14%多く売却、換金しなければならないことになるのだ。
金融資産の毎年の減少額が想定より14%多いとなると、こちらはとても軽視できない増税幅に思える。
資産減少額の14%増加が許容できないという人は生活レベルを下げるしかないが、その場合は生活費が500万円から438万円と、なんと12.5%のダウンとなる。
これは相当苦しそうだ。

まとめると、金融所得の税率引き上げで悲鳴をあげるべきは「一攫千金派」ではなく、「堅実投資でFIRE派」ということになり……それって、僕のことじゃん!
アーリーリタイア生活のピンチ! とでも書けば盛り上がるのだろうが、全然そんなことはない。
増税などによる資金繰り悪化に対処する方法については、次回以降に書きたい。




ランキングに参加してます。ぜひ一票を。
更新の励みになります!
    ↓
にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村




9CA8F59C-4F7A-4AF7-A79B-50B6EC3D6214.jpg
妻作・アイシングクッキー。

スポンサーリンク

内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

自著の紹介

ツイッター(更新告知など)

ブログ・ランキング参加中

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

こちらは連絡用です。 コメントはツイッターでのみ受け付けています

全記事表示リンク

プライバシーポリシー

検索フォーム